2017年10月20日
あれ、この道でいいのかな。そんな思いが頭の
あれ、この道でいいのかな。そんな思いが頭のすみを横切った▼信州の広大な高原を、同宿していた学生仲間を案内して歩いていた。晴れていた空がにわかにかき曇り、小雨が降り出してくる中、一時も早く下山しようと道を急ぐが、霧がかかり先が見通せない。もうそろそろ馴染みのある風景が見えるはずなのに、一向にたどり着けない▼ただ一人私だけが道を知っているということで案内役を買って出たのだが、どこかで道を間違ったのか。でも後ろから着いてくる仲間に、今さら引き返そうなんてとても言えない。なんて頼りないヤツだとさげすまれるだけだ。この道でいいんだ、と自分に言い聞かせて、霧をかき分けるように黙々と歩み続けた▼結局はもと来た道を引き返し事なきを得たが、決断を下すまでの間、雨の中を震えながら歩いた時間と距離は短くはなかった。無事に戻れたのは奇蹟というしかなかった▼誤謬というものは早く気付き早く正せば実害は少ない。しかし体面を気にしたり、まだ取り戻すことができると胸算用したりするうちに深みにはまって身動きとれなくなるのが凡夫の世界だ▼宗祖は、汝早く信仰の寸心を改めて速やかに実成の一善に帰せよと説かれるが、政治も自然も大きな変化を見せる今、この世界が誤った道に陥らぬよう先ずは私たち一人一人が、速やかに心のリセットができるよう心がけておきたい。(直)