2017年3月1日
あなたは仏から自分宛のメッセージを
あなたは仏から自分宛のメッセージを受けとったことがありますか? フランスの哲学者レヴィナスによれば、他者への責任(有責性)を自覚した時に受けとれるというのだが▼27歳新米住職の時、バス停に立つ私の前を1人の尼僧が唱題行脚で通りかかった。合掌する私に「何をしているのか」と問いかけるので「月回向の途中だ」と答えると、「同朋の若い僧侶も全世界で布教と世界平和のために歩いている。あんたは一体何をしているの?」と再び問いかけられた。絶句する私を尻目に、尼僧は通り過ぎて行った。確固たる信念を持てずに僧侶になった私には、尼僧の言葉は重かった▼悩む私に助言してくれた先輩僧がいた。「方便品に『唯仏与仏』という一文がある。真摯に仏と向き合えば、仏の言葉をいただけるからね。あなたがぜひ必要だと招かれて赴任したのなら、そこで華を咲かせた方がいいと思うよ」▼調べてみると日蓮聖人は清澄で7日間の法華三昧行後、立教開宗。親鸞さんも堂籠りのなかで夢告を受けている。仏のメッセージを受けとったのだと考えた私は、3日間の本堂籠りを思い立った。結果、40年近くをこの地で住職として過ごしている。初日から「縁ある人と繋がれ」という指示をいただいたように思う。日蓮聖人の「本より学文し候し事は、(略)恩ある人をもたすけんと思ふ」(『佐渡御勘気鈔』)という言葉を大切にしている。(雅)