2016年8月20日
夏の信行道場。団塊の世代と呼ばれる私たちは
夏の信行道場。団塊の世代と呼ばれる私たちは、今年の道場生の4倍もが1部屋に詰め込まれた。クーラーは無論のこと網戸もなく、閉め切った部屋。蒸し暑さの中、ブーンと蚊の羽音が聞こえてくると、もう寝るどころではなかった▼蚊に悩まされる人は多い。蚊がいなければどんなに夏が過ごしやすいだろうと思う▼実は自坊660㍍の山上境内に蚊はいないとされてきた。というのも、厳冬の寒さは半端ではなく、屋外の水は全て凍て付き、家の中でも硯を火鉢にかけないと墨が凍ってしまう。蚊はボウフラであれ成虫であれ、冬を越すことができなかったのであろう。冬は寒くても夏は涼風が吹き、蚊もいない。山の緑の向こう、大阪湾を眼下に見下ろすことのできる、まさに天空の別天地であった▼ところが近年蚊が出るようになり、蚊取り線香が必要になってきた。いや蚊だけではない、ゴキブリの姿も見かける。天空の別天地が並みの平地の如くなりつつあるのだ。となると、並みの平地はこの先どうなっていくのだろうか▼地球の温暖化というと、氷河や氷山が崩れたりする映像がお馴染みだが、身近にこんな形で実体験するとは思いもしなかった。自然環境は変化し、人間を取り巻く生態系はどんどん崩れ、蚊取り線香でどうにかできるような問題ではなくなっているのだ。まさに緊急第一に取り組むべき人類最大の課題だ。(直)