2016年7月1日
雨漏りのため、本堂を改修することに
雨漏りのため、本堂を改修することになった。予算のため、宮大工(神社や寺の建築・補修を専門に行う大工)に頼まずに近所の工務店に依頼した▼「ウチは床の間大工ですが、それでよければ」と快く引き受けてくれた。格天井と網代天井の組み合わさった仕上がりに感心してお礼を言うと「技を伝えるというのは難しいことですよ」と昔話をしてくれた。先代の後を継ごうと決めた時、名人大工
許に弟子入りするか、技より機械の時代に対応して免許を取りに行くか悩んだあげく、機械化を選んだというのだ▼「株式会社にまで成長した工務店をみれば正解だと思うが」と問い返すと、「最後の宮大工棟梁と呼ばれた西岡常一さんの弟子で小川三夫さんのテレビ番組を見ましてね。大工仕事は、言葉で教えることができない。技術は体の記憶だから。教えるのは一見親切に見えるけれど、言葉で教わったものは自分のものじゃない。結局身につかない。弟子を育てるには徒弟制度しかないねというんだ。ウチの場合経営と機械は俺がやるけれど、親父の弟子が大工仕事をしているよ」と答えてくれた。▼僧侶の世界にも師資相承(師から弟子へ道を伝えていく)という徒弟制度がある。職人の世界より教育システムは整っている。僧侶になろうと決意した時、私は布教師・修法師・声明師の資格を取りに行った。その時、形だけではなく師からその心を学ぶ意識を強く持っていただろうか。(雅)