2015年8月1日
還暦を迎えてから合唱を始めた。
還暦を迎えてから合唱を始めた。秋になると全国でベートーベンの第九のレッスンが始まったというニュースを毎年のように見ていて、一度は歌ってみたいと考えていたところ、合唱の指導者からお誘いをいただいたからだ。四分音符と八分音符の違いが分かる程度の素人に歌えるものか不安だったが、ドイツ語の発音に苦労しながらもなんとか歌えた▼それから7年間、様々な演奏会に出演させていただいている。今月も静岡交響楽団の定期演奏会でモーツアルトの「レクイエム」を歌う。さすがに大曲で練習は昨年の9月から始まっていた。ただ、キリスト教の聖書に基づく曲なので、イエスキリストだのアーメンだのという歌詞が数多く出てくる。正直なところ抵抗があったが、指導者の言葉で納得した。曰く「ステージの上ではキリスト教徒を振る舞えば良い。刑事ドラマに出てくる悪役が実生活では悪人ではないように」▼言われてハッとした。僧侶として生きている私自身、衣を纏ったときと脱いだときの違いがありはしないだろうか。法要の時だけ「らしく振る舞って」いるだけではないのか。荘厳な法要は人々の心に訴えるものが大きいが、私たちの所作は法要というステージの上だけではいけないのだと教えられた思いだ。どこで何をしていても僧侶としての振る舞いが必要なのだった。むしろ私服の時こそ要注意だろう。(寮)