2015年3月10日
元気だけが取り柄の私だったが、
元気だけが取り柄の私だったが、昨年から体調不良が続いた▼幾度となく病院に行っても思わしくなく、藁をもつかむ思いである漢方薬のお店を訪れた。高麗人参や薬草が並び、独特の香りが漂う。火鉢を囲む椅子に案内され、私は症状を伝えた。すると店主のおじさんは穏やかに話し始めた。「人間の体の細胞はね、毎日三千億個も死んで、それと同じ数だけの細胞が生まれてくる。その中の一つや二つが他と違ったって不思議なことじゃない。最近はね、みんな自分の生活を振り返ることなく、医療や薬に頼りすぎる。病気になった時は、生活を見つめなおす時。悪い所はなかったかな? 気をつけることはないかな? って考える時。何かしら原因があるからこそ病状が現れるのだから。大丈夫、自分の体の〝治そう〟という力を信じて、この薬をお飲みなさい」▼何だか急に気持ちが楽になり、半分は治ったようにさえ感じた。薬に頼るのではなく、まず自分が変わること。そうだ、お題目も同じ。ただ唱えるだけではなく、仏さまを信じて、自身をちゃんと見つめることで、きっと仏さまは微笑んでくださるのだろう▼思い悩んだ時に足が向く場所…導かれるように身延山に出掛けた。するとその日を境に、すっと心身の雲が晴れていった。祖山の空気はいつも私を暖かく包んでくれる。もう大丈夫。桜の咲く頃、元気にお礼参りに出掛けよう。(蛙)