2015年2月10日
子供のころ、親に叱られるのを承知でいたずらを
子供のころ、親に叱られるのを承知でいたずらをしたり、言うことを聞かずにいてこっぴどく怒られた記憶はどなたにもあろう。誰しも叱られるのは嫌なものだが、思い返して懐かしい思い出として残ることもある。が、逆の場合には、本人しか知りえない辛いものとなる。大人になってからも▼同僚の面前で上司から「小学生が書くような文章だ」などとた度々罵倒されたり、無視をされたりして、自ら悲しい結末を選択した事件が神奈川県で起きた。どこかに逃げ道を作ってやらないと立つ瀬がないではないか▼作家の井上ひさしさんは「ふふふ」(講談社文庫)に逆の場合の実体験を載せている。少年時代に辞書を万引きして本屋のおばさんに捕まった。万引きをする者は罪の意識が薄いという。少年もそうだったのか。おばさんは「これを売ったら百円のもうけ。坊やにもっていかれたら、5百円の損。その5百円をかせぐには同じ本を5冊売らなければならない。うちは6人家族だから、こういう本をひと月に百冊も2百冊も売らなければならない。坊やのような人が30人もいてごらん。6人は餓死してしまう。坊やのやったことは人殺しに近いんだよ」と言って少年に薪割りをさせた。それが終わるとおばさんは少年に辞書を渡して「代金は薪割りの手間賃から差っ引いておくよ」。少年は欲しいものは働いて買うことを学んだ。おばさんの粋な叱り方、説教に脱帽(汲)