2013年4月20日
「何という人だ!」
「何という人だ!」 電車の中でマナーの悪い人を見たときなど、誰しも憤りを感じる。それが近頃あまり感じなくなってきた。人格が練れてきたと言いたいが、そうではない。理不尽なことが多すぎて、もはや腹を立てる暇もないというのが真相だ▼ところが思わず「もういい加減にしてくれ」と言いたくなった。寒さの戻った夜のこと、風呂に入っていると電話が鳴った。家の者が出ていたときで、慌てて飛び出し、浴衣を引っかけただけで受話器を取った▼さる大手会社の代理店だという。営業の電話かと思いすぐ切ろうとすると、大切なお知らせなので聞いて欲しいという。寒さが押し寄せてくるのに耐えながら取りあえず聞いてはいるが、中々本題に入らない。一体どんな用件かと強く問うと、結局は自社の商品を買うとお得ですよとのこと。まったく腹立たしい限りだ▼ではいっそ人のいないところへ行けば腹は立たないかというと、石につまずいたり、カラスに馬鹿にされたりと、それはそれで腹立たしいことはある。この世に生きる限り堪え忍ばなくてはならないことは釈尊の時代から明言されている。それ故この世は「忍土」と呼ばれ、仏とはよく堪え忍ぶことの出来る人という意味で「能忍」という▼憤ってみても問題の解決にはならない。今月は釈尊ご降誕の月。仏に習い先ずは忍の心を持つようにとの仏の戒めかもしれない。(直)