2013年2月20日
「年を取って、集中力が…」
「年を取って、集中力がぐっと増してきた気がする」還暦過ぎらしき人の声が聞こえる。「ほうなんでそう思うんだね?」▼当方も思わず聞き耳を立てる。「いや、昨日もゴミを出そうと持って出たんだけど、歩きながら最近はゴミも贅沢なものになってきたなと考えているうちに、金融緩和や消費税率にまで思いが進み、気がついたらゴミ置き場を通り過ぎて、町内の外れまで来ていたんだ」集中しているのか散漫になったのか、思わず苦笑してしまった▼なるほど、年を経ると思索が深くなるという話はどこかで聞いたような気はする。でも逆に加齢と共に、二つ三つのことを一度にこなすことができなくなっていくともいう。だから車を運転しているとき、真剣に物思いにふけったりしてはいけない。ただし、これは年齢に関係なく、若くても気をつけなくては、通り過ぎたからといって、後戻りするだけではすまない大事故になりかねない▼誰しも真剣に取り組むとき、肉体的にも精神的にも視野が狭くなるものだ。いま何をすべきか、何のためにするのか。そんな視点をもって自分を見つめることが大切だ▼信仰もまた然り。一人自分だけのためではなく、周囲の人々や親兄弟、ご先祖と、縁あるすべての人々が、ともに悦びを分かち合うことができるようにと願うのが、法華経の祈りである。そんな祈りが世界に広まることを願う。(直)