2013年1月1日
政治が動いた。新しい政権は
政治が動いた。新しい政権は宗教団体と、どう関わっていくのだろう▼日本国憲法は第20条・89条で、宗教団体が国から特別な利益や地位を受けることを禁じている。戦前の国家神道による思想統制の反省に立った「政教分離」の規定である▼公立の小学校の校長から「生徒に話をしてみませんか?」と誘いを受けた。「宗教者が教育現場で話をしても良いのですか?」と政教分離を心配して問い返すと「宗派の宣伝は困るが、宗教者としての立場で僧侶の姿で話をして欲しい。テーマは『いのち』です」と有り難い話である。今までに医療関係者や救命士等、いのちの現場で働く人々を講師に呼んでいるという。その中に宗教者を選んでくれた校長の見識の高さと勇気を尊敬した▼教育や福祉の現場で宗教を過剰に遠ざけることで人間の心、精神面に空白が生じているのではと島薗進東大教授は指摘する。地域で暮らす人々の支えとして宗教があるのなら、政教分離の原則をしゃくし定規に当てはめていいのかというのだ▼東日本大震災の国の復興計画の中で、寺や神社の再建支援をどうするのか、論争になっている。宗教界は、寺社が地域を支えた歴史的・文化的な基盤を担ったとして一般的な支援を要請している。ところが国はそれさえ政教分離の建前拒否している。だからこそ、地域で支持され、心の拠り所となる寺でなければ生き残れない時代がきているのだ。(雅)