日蓮宗新聞
2005年10月1日号
米ハリケーン「カトリーナ」 北米開教庁へ被災者支援金
日蓮宗は9月8日、アメリカ南部に上陸し甚大な被害をもたらしたハリケーン「カトリーナ」被災者支援金として、5500ドル(約60万円)を日蓮宗北米開教庁(金井勝海開教庁=ロサンゼルス日蓮宗米国別院主任)に送金した。
この支援金は日蓮宗国際協力基金の中から拠出されたもので、北米開教庁ではアメリカ赤十字社へ献金、残りは被災した別院信徒等への支援金にあてられた。
カトリーナによる日蓮宗開教拠点への大きな被害は報告されていない。
ご真蹟70点余、25年ぶり調査
千葉県市川市の大本山中山法華経寺(新井日湛貫首)に伝わる日蓮聖人のご真蹟70点以上のすべてが約25年ぶりに調査され、過去に行われた修理の経過が良好であることが中尾堯立正大学名誉教授ら調査チームによって確認された。
今回の調査は8月30日から9月2日まで、『立正安国論』や『観心本尊抄』(ともに国宝)をはじめとする数多くのご真蹟を厳重に所蔵する法華経寺の「聖教殿」で行われた。聖教殿の扉が、お風入れ以外の日に開くのは極めてめずらしい。
調査の主な目的は、法華経寺が昭和55年に日蓮聖人七百遠忌記念事業の一環として行ったご真蹟修理のその後の状態を見ることで、25年の歳月を経て、のり付けや装丁などに変化はないか一点一点を丁寧に確認した。
その結果、修理後の経過はとても良く、適切な状態で保存されていることがわかった。ただし、昭和55年当時に完全な修理が施されなかったご真蹟には予想通り痛みが見られ、今後の修理の必要性が確認された。
そういった意味でも、ご真蹟の修理は将来的な保存の上で非常に重要な意味を持つことが今回の調査で改めて実証されたことになる。
また、法華経寺に伝来する70点以上のご真蹟を間近に拝しての調査となった今回、写真などでは判別するのが難しい紙質や筆質、微細な糸通しの穴や紙の継ぎ目などを確認することができ、こういった貴重な情報もすべて記録された。これらは今後の研究に大いに役立たれる。
法華経寺の新井貫首は「平成15年の貫首晋山以来、初めての本格的な調査となりましたが、25年前の修理が確実に成果を出していることに安心致しました」と述べ、調査に加わった渡邉宝陽立正大学名誉教授は「声も出ないほど感激致しました。ご真蹟は日蓮聖人と私たちを結ぶ門下全体の象徴であり、護持の大切さを強く感じます」と語った。
調査を終えた中尾教授は「700年以上の時を経た今、ご真蹟の一つ一つが相続されていることに代々先師の真摯な姿勢を感じます。ご真蹟には日蓮聖人がその時使われた筆の状態まで見て取れ、『転重軽受法門』と『寺泊御書』の割れた筆致からは、佐渡に渡られる直前の困難な状況が伝わってきます。そこには、聖人の情熱と信仰のお姿、闊達さと行動の自由さが感じられるのです」と振り返った。
智慧と愛情で宗門貢献を
花が咲くと同時に実を付ける蓮華の花。生命を宿し、育む力をもつ生命力溢れる女性の力を日蓮宗の布教の場で発揮できるように―。全国日蓮宗女性教師の会が結成されてから、はじめての総会が8月30日、行われた。
今年4月に発足した尼僧の全国組織「全国日蓮宗女性教師の会」の平成17年度総会が8月30日、東京大田区池上の日蓮宗宗務院と大本山池上本門寺で行われ、会員83人が参加した。発会奉告式は池上本門寺の大堂で厳修され、女性教師のみでの法要が行われた。早水日秀池上本門寺執事長が来賓として出席した。
堂内から妙響する読経は、散華がはらはらと舞い、瓔珞がそよぐかのような澄み渡るソプラノの声で、一般の参詣者もうっとりと聞き入っていた。
午前中、宗務院で行われた総会では伊藤美妙会長は挨拶に立ち「末法にして妙法蓮華経の五字を弘めん者は男女きらふべからず、皆地涌の菩薩の出現に非んば唱へがたき題目也」(諸法實相鈔)を引き、日蓮聖人の立正安国の実現のため世界の平和と人類の幸福を願い、また女性僧侶の資質向上をめざして結成された同会の実務の方向性を示した。
会議中、田端義宏伝道部長から助成金が伊藤会長に手渡された。田端部長は、750年という歳月を経て女性僧侶の組織が誕生したことを称賛しながら、智慧と愛情をもって宗門貢献してほしいと激励した。
事務局側からは会則の変更等の説明が行われ、また会結成の祖山への報告は、輪番奉仕をもって10月8日午前9時から身延山で行うこととした。
会員の一人、田代妙慧師(川崎市法性寺)は「主人にお寺に連れられたのがきっかけで、いつの間にか僧侶の道を歩んでいました。これからもっと勉強する機会が増えるのではないかと期待で胸をふくらませています」と語っていた。
日蓮宗の8316中、女性教師は1021人(9月27日現在)、そのうち住職等の籍を担うのは265人。