日蓮宗新聞
2016年6月10日号
大本山池上本門寺で中央檀研道
宗門運動推進のため信行推進者を養成する中央檀信徒研修道場(野坂法行主任)の今年度第1回が5月21、22日に東京都大田区大本山池上本門寺(菅野日彰貫首)で開かれ、全国から檀信徒27人が参加した。日々の信仰増進のための「勤行の実習」から、法座では「信行推進者としてどう行動するか」をテーマに話し合われ、立正安国へ向かっての研鑽を積んだ。
開講式では、大堂に安置される日蓮聖人像へ報恩感謝のお題目を捧げた。挨拶に立った全国檀信徒協議会の池上幸保会長は、「信仰を自分のものだけにせず、家庭や地域で心の豊かさを取り戻すリーダーとして世の中のために役立ててほしい」と期待した。
■講義
両日計4回の講義のうち、初回は野坂主任が「宗門運動について」と題して行った。宗門運動のスローガン〝いのちに合掌〟をキーワードに、いのちの尊さや各個人は社会での使命を果たすための大切な存在と述べ、「曼荼羅ご本尊は私たちもすべて含んだ調和の世界があらわされている。この世界を目指すことが私たちの目標」と締めくくった。ほか塚本智秀講師の「お釈迦さま法華経」などの講義が行われ、道場生は法華経や日蓮聖人の教えの理解を深めた。
■唱題行 夕方には大堂(祖師堂)での唱題行が行われた。唱題行を推進する求道同願会の会長を務める菅野貫首から「特別大きな声のお題目は必要ありません。ただし、お祖師さまへ届くお題目をお唱えください」と指導を受けた参加者は、大きなお堂に響く唱題の世界に包まれた。菅野貫首は「雑念を払いお祖師さまと一対一になってお題目を唱えきったものだけしか持ち得ない味があります。そういうお題目をぜひ唱えてください」と教示した。
■法座
夕食後は法座が行われ、信行推進者としての志について発表された。大阪・豊能のNさん(69)は、「私の家は核家族だが、帰ってきたら、仏壇へ手を合わせたり、いただきものをお供えしたりしている。身近な家族から始めることが大切」と述べた。また大阪市のSさん(44)は「私は地域包括支援センターで働き、65歳以上の高齢者と関わっている。少しでも研鑽を積み、みんなの心が豊かになってくれればいい」と目標を語った。
2日目は朝勤に参列し、講義を受けた後、閉講式が執り行われた。参加者へ特別信行証が渡されたほか、3回以上参加した檀信徒に特別信行推進証が授与された。
岡山から2人で初参加したEさん(67)とTさん(67)は、菩提寺で檀信徒の幼少年に向けて寺子屋を開くなど、積極的な活動を行っている。「今回、所作を学び、形から入ることも信仰増進に役立つことを感じた。今後の檀信徒の集まりなどで早速、教えたい」と意欲を見せた。