日蓮宗新聞
2021年11月1日号
第740遠忌・池上本門寺お会式
東京都大田区大本山池上本門寺で10月11~13日に日蓮聖人第740遠忌お会式が行われた。
例年、日蓮聖人ご入滅のお逮夜にあたる12日には全国から約100の講中が行列(万灯練供養)し、夜中まで賑やかなお囃子を鳴り響かせながら、纏を振るとともに万灯の明かりで池上の町を照らしている。
今年も昨年同様、長引くコロナ禍で行列は中止となったが、約50講中が行列は実施できなくても、本門寺大堂(祖師堂)の日蓮聖人へ報恩感謝を捧げたいと参拝に訪れ、静かにお題目を唱え頭を垂れた。
法要は例年どおりお会式期間に5座営まれた。12日の午後は「宗祖報恩御逮夜法要」が行われた。お会式での法要も例年は約50人の僧侶が読経しお題目を捧げているが、今年は20人ほどの出仕となった。導師を務められた菅野日彰貫首猊下は敬白文で日蓮聖人のご入滅の場面に思いを致せられるとともに出会いがたき法華経のご縁をいただけたことに感謝を示され、法華経広宣流布の志を改めて引き継ぐ誓いを立てられた。
夜には講中が次々と訪れた。万灯練行列では、老若男女合わせて約50人で参拝を行っているという大井十二日講は、感染症対策のため役員5人で参拝に来た。大堂土間から日蓮聖人像へ静かに一読を終えた会長の倉本健一さんは、「祖父、父の代から何十年とこの日の参拝を続けてきました。日蓮さまに参拝するのは当たり前のこと。どういった状況であれ、今日、参拝できたのは非常によろこばしく、ありがたいことだと思っています」とほっとした表情を見せた。
翌日13日午前7時、昨晩午後7時から夜通しで大堂でお題目を唱えていた参籠者ら約70人が参列するなか、石川県立像寺住職の福井清周師が特別説教でご宝前に立った。福井師は日朗上人との師弟愛から母を思う日蓮聖人の話などを語り、参列者とともに宗祖への思いを同じくした。
臨滅度時法要が始まり、自我偈が読まれた後の8時頃、約740年前の日蓮聖人ご入滅時の故事に倣い菅野猊下が「臨滅度時の鐘」を報恩の意を込められながら鳴らし続けられた。鐘の音は大堂を中心に境内にまで響き渡り、池上のお山全体が悲しみと感謝に包まれた。
