日蓮宗新聞
2016年5月10日号
犠牲者のご冥福と早期復興を
千葉県鴨川市大本山清澄寺(住職=内野日総管長・二宮日敬別当)で4月27日、第764回立教開宗会が営まれ、僧侶檀信徒約200人が参列した。大導師を勤められた内野管長猊下は日蓮聖人が目指された立正安国への誓いを新たにするとともに、平成28年熊本地震での犠牲者諸霊の冥福と被災者への見舞い、早期復興を祈念された。
法要では、全国の有志がお題目と出会えた喜びを和讃に乗せ奉詠した。内野管長猊下が、慶讃文で日蓮聖人への報恩感謝を捧げた後、参列者が異体同心でお題目を唱えた。法要後、内野管長は、熊本地震をはじめ、東日本大震災や各地での災害の犠牲者を追悼された。また立教開宗会にあたり、「時代の変化は今こそ一人ひとりの信念ある行動を求めています。日蓮聖人のように強盛なる信仰心を持ち続け、久遠のお釈迦さまのご功徳が具わるお題目を頼りにして、志高く自己の変革に取り組んでいきましょう。そして世界中の人びとが笑顔で安穏に暮らせるように法華の信仰者として価値ある社会づくりに精進していきましょう」と述べられた。
参列した清澄寺の若月昭筆頭総代は、熊本地震で檀信徒が犠牲になったことについて、「檀信徒仲間が犠牲になり、またご苦労されている。負けずに頑張って欲しい。立教開宗会の節目に日蓮宗徒として被災された人たちを応援し続けたい」と語った。

熊本地震・福岡でも被害
平成28年熊本地震本震から10日が経過、災害対策本部(小林順光本部長=宗務総長)に被害情報が入った寺院は福岡県と熊本県の4ヵ寺が追加され、4月27日現在計48ヵ寺となった。大分県支部からは、とくに揺れが激しかった由布市方面に日蓮宗寺院が少なく、管内では軽微な被害しかなかったという報告が入った。
同本部では、4月22日に川口智康副本部長が現地入りした。川口副本部長らは熊本県支部に義援金100万円と見舞金30万円を届けたのち、熊本市と益城町の被災した20ヵ寺を視察した。現地で行った聞き取り調査では、余震による被害の大きな拡大は見られなかったものの、被災した本堂・庫裡などが降雨時、想定以上に雨漏りすることが判明した。多くの寺院は、境内地・堂内の片付けが未着手の状態で、「余震の収束を待って堂内の整理を始めたいが、なにから手を付けていいのかわからない」と話す僧侶もいたという。被害が少なかった寺院を避難場所として利用した東日本大震災と違い、熊本地震では寺院が建物として機能を失ったケースが多く、避難場所となっている箇所はない。梅雨期や台風シーズンを控え、引き続き厳しい状況が続くことが予想される。
また災害対策本部が開設した「日蓮宗義援金」の口座には全国各地の寺院、僧侶、檀信徒から連日、義援金が届けられている。千葉県南部宗務所(荻野泰継所長)は義援金1千万円を4月26日、日蓮宗宗務院に志納した。荻野所長は「降誕八百年をお迎えする地元として、率先して支援にあたりたい。復興にお役立ていただければと思っている。管区からの支援はこれで終わるわけではなく、早期復興に向け2次、3次の支援も考えている」と話した。
またこの日は、宗務院で災害対策会議が開かれ、川口副本部長らから現地の被害状況の報告が行われたほか、熊本災害対策支部に運営資金として3百万円が支払われることが決定した。

2016年5月1日号
熊本地震・広範囲で被害
多くの犠牲者と甚大な被害を出した熊本県熊本地方を震源とする4月14日から断続的に発生した地震で、熊本県を中心に日蓮宗寺院も被災した。震源地近くの益城町日眞寺(澤村顕一住職)では、檀信徒2人が犠牲となった。東京都日蓮宗宗務院の災害対策本部(本部長=小林順光宗務総長)は「平成28年熊本地震」を大規模災害に指定。被災寺院の情報収集を行っている。
本部では、25日現在44ヵ寺の被災を把握しているが、とくに被害が大きかった熊本県内には日蓮宗寺院教会結社が108ヵ寺あるため、寺院や檀信徒の被災報告が増える可能性が高い。日蓮宗僧侶寺族の人的被害や本堂が倒壊したという情報は入っていないが、熊本市妙立寺(三坂恵祐住職)の山門が倒壊するなど大きな被害がでているほか、同市妙永寺本堂が専門家から危険性を指摘されたため、有戸光義住職は建て直しを考えている。
また本部は15日に支援物資を被災地に届けることを決め、16日に熊本県宗務所災害対策支部(支部長=濵田義正所長)から要望があったブルーシート30枚、飲料水約1・3㌧、医療品を発送。福岡県宗務所を経由して被災地に届けられた。本部はほか、義援金勧募のための勧募箱などを全国の寺院教会結社に配布することを決めた。
