日蓮宗新聞
2021年9月20日号
降誕800年慶讃特別度牒交付式
日蓮聖人降誕800年慶讃・特別記念度牒交付式が8月27、28日に千葉県鴨川市の大本山・誕生寺と清澄寺で行われた。普段の度牒交付式は日蓮聖人が出家得度された清澄寺のみで行われているが、今年迎えた降誕800年を記念して、日蓮聖人ご生誕の霊跡・誕生寺での宗門子弟の誓願式が組み込まれた特別な日程で行われた。参加したのは全国から9〜24歳の24人の子弟とその師僧ら21人。
1日目に誕生寺で行われた誓願式では緊張の面持ちで子弟が祖師堂に入堂。導師を務めた関本城伝道部長が浄髪之儀で子弟1人ひとりの頭部に御剃刀を当てた後、数珠が授けられると子弟を代表して橘華那さん(24)が「これからは常にお数珠をたもち、一生懸命お題目を唱え、立派な僧侶となるために修行に励みます」と誕生寺の日蓮聖人像に誓った。
式終了後は、子弟と師僧に向けての講義が別々に開かれた。子弟への講義は坂井是真師が担当し、「自分」「いのち」「使命」の3つについて考えることを求め、最後に「自分、いのち、使命を知った今日がみなさんの誕生日となります。たくさんの人を救うお坊さんになってください」と話した。師僧への講義は大場唯央師が務め、自身の師匠や今の自分から弟子に見せる「僧形」とは何かを問うた。
2日目は前日に移動した清澄寺で起床。未明に日蓮聖人が建長5年(1253)に立教開宗をされた旭が森に上り、お題目を唱えながら日の出を迎えた。当日はご来光を拝むことができ、子弟たちが僧侶としてスタートする記念にふさわしい日となった。
度牒式は中川法政宗務総長名代の金子日厚別当が導師となり営まれ、1人ひとりに度牒交付書と僧侶(沙弥)の証である白い折五条袈裟が授けられた。金子別当は度牒者に対し、「日蓮聖人は清澄寺で三宝給仕を一生懸命されていたことと、推察いたします。みなさんも日蓮聖人のお弟子の自覚をしっかり持ち、精進してください」と期待した。交付を受けた垣本侑南さん(16歳)は「お寺の子として生まれたことで、貴重な体験ができました。礼儀作法や挨拶を基本に、周りの人たちにそういった大切さも含めて伝えていきたい」と語った。度牒を交付された者は日蓮宗の僧籍に編入され僧籍簿に登載され、沙弥となる。

2021年9月1日号
千鳥ヶ淵戦没者追善供養
日蓮宗宗務院主催の「千鳥ヶ淵戦没者追善供養並世界立正平和祈願法要」が、76回目を迎えた終戦記念日の8月15日に東京都千代田区の千鳥ヶ淵戦没者墓苑で営まれた。
新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、例年用意される一般参列者の席は設けられなかったが、導師の中川法政宗務総長をはじめ、東京4管区の各宗務所長と修法師7人が、出仕・参列ともに叶わなかった人たちの祈りと願いを背負いながら、心からの妙法蓮華経とお題目を捧げた。
同墓苑には先の大戦などによって亡くなった身元不明の遺骨が埋葬されているほか、全戦没者の慰霊追悼のため昭和34年に国によって建設された施設。
法要では懇ろな読経、力強い祈りの修法が行われた後、中川総長が表白(自己の内心を外に表し本仏などに白あげること)し、「戦いつつ戦火の止まんことを祈り、平和の来たらんことを命をかけて求められし諸霊に報いる道は平和世界を此の土に築き上げることにあると覚知せり」と立正安国の実現を誓願した。また挨拶では「コロナ禍の猛威の中にあっても、絶対に忘れてはならないのが、異国の地で苦しみと絶望の中、望郷の念を懐いて亡くなられた墓苑の37万114柱の戦没者を含む全ての戦没諸霊位へのご供養と感謝。それを通じ、諸霊位は成仏を果たし、我らはコロナや災害に負けない生き抜く勇気を得ることができると信じている」と確言した。
続いて同墓苑奉仕会の山崎文夫理事長が同墓苑建設時から日蓮宗が法要を営んでいることに謝意を表した後、「私たちが戦争を理解し、国の礎となった戦没者に感謝し、また無念を思い、2度と戦争をおこさぬよう堅く平和を誓うことが慰霊につながる」と述べた。
