日蓮宗新聞

2006年10月20日号

総本山身延山久遠時で3週間の「先達」修行

檀信徒のエキスパート“先達”の修行が9月1日から21日まで、総本山身延山久遠寺(藤井日光法主・山梨県南巨摩郡)の麓にある信徒研修道場で行われた。日蓮宗では、檀信徒を導き僧侶の布教を補佐する「先達」の修行を4年に一度身延山で行っている。今年は、奥野本洋身延山布教部長、久保田和照訓育主任を中心とする指導陣のもと、朝4時の起床から午後9時の消灯までの間、1日3度の水行、本山登詣、朝勤、御廟参拝、読経練習、写経など細かに設定された日課に加え、「先達の本分」「先達・信徒としての意義」など先達としての心得を学び、思親閣・七面山登詣、終了前日には総仕上げとして施餓鬼会法要を行った。
今年は27歳から66歳までの男性2人・女性7人が、仕事や家事の都合をつけ、自らに厳しい修行を課しより深い信仰を得ようと篤い思いを抱いて参加した。先達修行は1回から5回の五段階あり、参加回数の多い修行生がリーダーとして集団生活の陣頭に立つ。今回は3回生の清時鶴子さん(大分県)をリーダーに3週間に及ぶ厳しい日課をこなした。
1日の日課の中には「自行」と呼ばれる修行生主体の修行時間が設けられ、清時さんが「自我偈一千巻」を提案。賛同した全員が心を一つに、休憩時間を削りながら一人一千巻を達成した。
開始当初は緊張に包まれていた修行生も日々の日課を積み重ねていく中で打ち解け、最終日前日の茶話会では、奥野布教部長をはじめとする指導陣と笑顔を交え思いを語り合った。「あっという間の21日間、ついていくのがやっとでしたが精一杯やりました」(長野県・佐藤和明さん)、「毎朝本堂に行くのが楽しみで、感動しながら先生のお話を聞きました」(福岡県・秋山節子さん)、「レベルの高い講義内容に感心しました」(石川県・山森仁左衛門さん)など一人一人3週間を終えた感想を述べ、奥野布教部長も「みんなが一つになって自我偈一千巻を達成できたことはすべらしい喜び。尊い時間を割いて有意義な修行ができたと思います。自らに磨きをかけると同時に、お題目の尊さを一人でも多くの方々に知ってもらう導きをするという尊い役目を担っているのです」と、慰労と激励の言葉を贈った。
また、参加者が少ないことを嘆き「密度の濃い修行をしているのだからもっと宣伝するべき」「歴史ある教団であることにあぐらをかかず一策を講じて欲しい」「20代30代の人にバトンタッチができていない」など、信仰をともにする仲間の減少に不安を覚える声があがった。
リーダーの清時さんは「よいメンバーに恵まれ感謝しています。一つ一つ説明を受けなくても修行している途中でわかるもの。物事に向かって努力し磨いていくことが大切です。先達はあくまでも“小学生”。檀信徒だから不安も多い。悪い時は悪いとお寺さんに導いて欲しい」と語った。
最終日の二十一日、身延山久遠寺の水鳴楼で修了式が行われ、杉浦則雄五重塔建立奉賛会事務局長から一人一人に修了証が手渡された。

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2006年10月10日号

身延山久遠寺第92世法主 内野日総猊下御入山式

 山梨県の日蓮宗総本山身延山久遠寺で10月3日、第92世法主・内野日総猊下の「ご入山式」が行われた。
午前10時、総門から出発した新法主の御入山行列は、大勢の人々の出迎えを受けながら、門前町・三門をへて菩提梯脇の女坂を登り、久遠寺の大玄関から入山され、午後は大本堂で「御入山奉告式」が営まれた。この日、内野新法主の御入山をお祝いするために全国から約3000人の檀信徒が参列し、祖山は慶事の華やかさに包まれた。
身延山は日蓮聖人が晩年の9ヵ年を過ごされ、「いづくにて死に候とも墓をば身延の沢にせさせ候べく候」というご遺言に従って建立された御廟を奉安し、日蓮聖人の御魂が棲む棲神の地である。
また身延山久遠寺の住職は、祖山の法灯を継承し御廟に給仕する者として古来より「法主」と尊称され、就任の折には日蓮聖人が身延山に入られた時と同じ道のりを辿る習わしとなっている。
 午前9時、内野法主猊下は御入山行列に先立ち、波木井山円実寺(岩田恵嵩住職)と鏡円坊(上田本昌住職)を参拝された。円実寺と鏡円坊は、鎌倉時代の身延山領主・波木井(南部)実長公ゆかりの寺院で、内野法主猊下は南部家の末裔にあたる。
午前10時、お駕籠の練り行列が総門を出発。行列の先頭は身延山学園の学生からなる力強い唱題行脚隊。次いで、錫杖・狭箱を持ち伝統の衣装を着た男衆が露払いをする格好で、波木井公の子孫・南部光徹師(東京都府中市東郷寺住職)と井上瑞雄身延山久遠寺総務に護衛されるかのように、内野法主猊下は真ん中の駕籠に乗られた。
その後ろには、本山瑞輪寺(東京台東区)、東郷寺、身照寺(岩手県)など内野法主猊下と縁の深い寺院の檀信徒が、門前商店街を練り歩いた。
壮大な三門の真下でお題目をお唱えした後、一行はそのまま女坂をゆっくりと登り本院に到着。駕籠から降りられた内野法主猊下は、大玄関前で多くの人々からのお出迎えを受け、歓迎と祝意の思いを込めた華やかな万灯奴舞奉納が行われた。

午後1時から本堂で「御入山奉告式」。法要に先立ち、去る9月21日に遷化された妙道院日光上人(藤井日光身延山久遠寺前法主)の増円妙道を祈念し、全員でお題目をお唱えした。
法要は、内野法主猊下導師のもと、井上瑞雄総務・樋口是澄一老職を副導師に、身延山学僧が出仕して執り行われた。本堂は参列者であふれ、屋外特設大画面モニターの前にも多くの檀信徒が静かに法要を見入っていた。
法要中、内野法主猊下は、歴代法主の名前が書かれた相承譜にお名前を揮毫され、報告文では先師の功績を讃えながら、「先代藤井日光猊下発願の五重の塔の再建は、日総、全力をもって当たり、必ずや円成の暁を迎えて猊下に奉告せんと欲す」と述べられた。
続いて伊藤勝淳身延山参与がお迎えの辞を述べ、酒井日慈日蓮宗管長猊下(大本山池上本門寺貫首)が「故郷に錦を飾るという言葉がありますが、本日の猊下は正にその言葉通りのお方でいらっしゃると存じます。これよりは宗門の竜頭となられ、益々の弥栄とご法体のご健勝を心からご祈念申し上げます」とお祝いの言葉を述べた。
また、身延山久遠寺信徒総代で衆議院議員の堀内光雄氏は、「どうか猊下には、祖山の発展は勿論のこと、宗門のご隆昌にお力添えを頂き、私共への暖かきお導きを下さいますよう懇願致します」と祝辞を述べた。
最後に内野法主猊下による御経頂戴の儀が行われ、参列者一同でお題目を三唱。内野法主猊下は「僧侶・信徒が異体同心に身延山の隆昌をはかり、祖山として全国の信徒に慕われる霊地にして参ります」と挨拶され、奉告式を終了した。

内野日総法主
大正15年生まれ。立正大学卒業。昭和21年、山梨県身延町清水房住職に就任。七面山別当職、身延山久遠寺副総務参拝部長などを歴任し、東京都本山瑞輪寺住職在任中は江戸開府400年を記念して本堂大改修を行うなど寺観一新に尽力。平成16年に日蓮宗一級法功章を受賞している。

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2006年10月1日号

読経の基礎を修得

 僧侶を目指す沙弥を対象とした読経の講習会である日蓮宗読経講習会(宗務院教務部主催)が8月22日から25日まで東京大田区の大本山池上本門寺(酒井日慈貫首)を会場に開催され、11人の受講生が読経の基礎を熱心に学んだ。
この講習会は、沙弥への読経指導が各寺院単位では難しくなりつつあるという現状の中で、宗務院主催の充実した講師陣による講習会として毎年行われている。
主任講師は振屋裕匡師(神奈川県厚木市長福寺)が務め、合わせて6人の僧侶が古来から伝わる一々文々による方法で指導にあたった。
今年は、女性3人を含む高校生から50歳代までの11人が参加。参加者は本門寺の朝勤に参列し、日中の読経講習、夜の復習と一日中、お経の練習に明け暮れた。
信行道場入場考査を間近に控えた者も多く、参加者の一人は「3泊4日の講習を通して読経の学び方がわかりました。帰ってからも一人で練習できます」と語っていた。

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新年のご挨拶。

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