日蓮宗新聞
2025年9月1日号
第4回日蓮宗スカウトキャンポリー!
日蓮宗スカウト連絡協議会は8月15〜17日に第4回日蓮宗スカウトキャンポリーを静岡県伊豆の国市大仁瑞泉郷で開催した。東京や静岡の全8団とラトビア国のスカウト(小学生~大人)ら合わせて約300人が自然と友情と信仰に触れる3日間を過ごした。また今大会のテーマは「いのちに合掌」で、大会長で連絡協議会長の塚本智秀師らが、開会式などの各場面で「いのち」について語り、自分だけではなく他者のいのちに感謝し、輝かせることの大切さをスカウトたちに伝え続けた3日間でもあった。
◆本山佛現寺参拝
16日は伊東市本山佛現寺を参拝した。板垣日祐貫首を導師に御開帳が行われ、スカウトたちは一心に合掌し、お経とお題目を唱えた。板垣貫首から同寺と日蓮聖人の関わりの話や、天狗が書いたと伝わる長さ3㍍もある寺宝の巻物「天狗の詫び状」が特別公開されるとスカウトたちは驚いた表情を見せていた。
瑞泉郷に戻り、夜には友情パーティーが開かれた。中学3年生以上からなるベンチャースカウトやローバースカウトたちによる各団の持ち味を活かした料理が作られた。静岡の団による富士宮焼きそばや静岡おでん、ラトビアのスカウトによるサーモンやじゃがいもなど母国の特産を使用した料理などが振る舞われると、小学1年生からのビーバースカウトやカブスカウト、ボーイスカウトを含め全員が口に頬張りながら満面の笑みを浮かべた。満腹になったスカウトたちは広場の中央に設えられたキャンプファイヤーを囲みうたったり、ゲームを楽しんだ。
◆仏さまに誓う
最終日には合同礼拝が行われた。ボーイスカウトの「ちかい」の最初には「神(仏)と国とに誠を尽くしおきてを守ります」とあるように信仰が奨励されている。広場に曼荼羅ご本尊を掲げ、青空のもと合掌しお題目を捧げ、各部門のスカウトたちが「多くの人のために尽くします」などの「ちかい」を捧げた。この誓いを受け、導師の塚本大会長は、「私たちを支える多くのいのちに感謝し、これからも元気に明るく、勇気をもって生きていくことを誓います」と仏祖三宝と〝いのち〟に言上した。
3日間を過ごした大田第17団・ベンチャースカウトの川守田穣さん(16)は「普段から日蓮宗との関わりで自分や多くの人の〝いのち〟とのつながりを教えられ、どう社会に貢献できるのかを考えています。今回で言えば、ぼくの好きな料理で、たくさんの人たちに喜んでもらえることを実行できました。今後も形を変え、社会に貢献していきます」と話した。
塚本大会長は「どんなものも、どんなときでもそれぞれに対して〝いのち〟として捉えなければならないことを教えたい。そして混沌としている世の中でも〝いのち〟を互いに輝かせる方法をいつも探し続けてほしい」とスカウトたちを見つめながら願った。
同キャンポリーは連絡協議会が今年50周年を迎えたことや、令和13年にお迎えする日蓮聖人第750遠忌を記念して開かれた。

終戦80年千鳥ヶ淵戦没者墓苑追善供養
日蓮宗宗務院は80年目の終戦記念日にあたる8月15日に、東京都千代田区の千鳥ヶ淵戦没者墓苑で戦没者追善供養と世界立正平和祈願法要を田中恵紳宗務総長を導師に営んだ。全国の僧侶檀信徒や日蓮宗保育連盟加盟の幼稚園・保育園からの平和の祈りが込められた千羽鶴約20束が飾られるなか、僧侶檀信徒約200人が参列した。
東京4管区の宗務所長を副導師に迎えた法要では、墓苑のシンボルである陶棺を声明師・修法師が囲み、散華供養や祈祷を行い、戦没者の霊位を慰めた。自我偈の読経中には参列者が焼香を行い、香りと立ち上る煙のなか合掌しながら冥福を祈り、不戦を誓った。田中総長は表白文で「我等今、先の大戦の最中、身命を賭して戦火の止まんことを祈り、平和の来たらんことを求められし萬霊の心情に思いをいたし、諸霊に報いる道は係る無念を晴らすに非ず、身心安穏なる平和世界を此の土に築き上げることにある」と述べ、立正安国の実現のために歩むことを戦没者に誓った。また挨拶では「正義」への盲信が争いを招くと語り、本来の「正」とは本質を見極めるための道標であり、国や文化の違いを乗り越え、赦し慈しみ合うことだと話した。
続いて同墓苑奉仕会の保松秀次郎理事長は墓苑に納められた引き取り手のない遺骨が現在で37万989柱になり、いまだに約110万の遺骨が海外にあると報告した。
毎年参列している杉並区の川村誠一さん(91)は「武器を持たない。報復をしない。とにかく話し合う。平和のために、リーダーを含め、私たちも対話が不可欠」と強調した。また同じく毎年参列している赤羽愛子さん(22)は「直接的にも間接的にも私たちは世界と関わっている。ウクライナやパレスチナなど世界で起きている現実を私たちのことと受け止め、何ができるか。当事者意識を持って常に〝平和とは〟〝戦争とは〟と問い続けなければならない」と話した。
日蓮宗は昭和34年の同墓苑設立以来、毎年同日に法要を行っている。終戦80年の節目を迎え焼香では参列者以外にも供養する人が後を絶たなかった。




















