日蓮宗新聞

2017年5月10日号

大本山清澄寺の本院が完成

清澄寺①千葉県鴨川市大本山清澄寺(住職=内野日総管長・二宮日敬別当)で4月27日、第765回立教開宗会と新しく建立された本院の落慶奉告式が営まれた。日蓮聖人が建長5年にのぼる太陽に向かいお題目を唱えられ、立教開宗された霊跡で、内野管長猊下は報恩感謝のお題目を捧げられ、また慶事を喜ばれた。
日蓮聖人降誕八百年・旭が森銅像建立100年記念で建立された新本院は、建坪約150坪の木造2階建て。茅葺風の銅板屋根など、約370年前に建立された桃山風造りの旧本院の特徴が取り入れられ、設計された。とくに玄関は、十万石の格式を与えられていた大玄関を彷彿させる造りとなっている。湿気に強い工法が用いられたほか、内部は団体参拝での休憩室や貴賓室、山務寮の機能を有している。
法要では内野管長猊下が挨拶で、「幾多の困難を乗り越えて工事を進捗させ、本院は素晴らしい姿に生まれ変わりました。二宮別当をはじめ、たくさんの人たちのご尽力の賜物です。厚く御礼を申し上げます」と述べられた。
清澄寺は、昭和24年に日蓮宗へ改宗した寺院のため本山の寺格でも末寺や法縁がなく改築資金の調達が難しかった。そのため二宮別当が勧募に全国をまわったほか、同寺でも節約を徹底するなどして浄財が集められた。二宮別当は「日蓮聖人ゆかりの霊跡の本院が老朽化したままでは日蓮聖人に申し訳ないと発願した気持ちを全国の皆さまに受けとっていただき、感無量の一言です」と感謝を述べた。
翌朝は、旭日暁天法要が営まれ、境内の旭が森からのぼる太陽にお題目を唱え、祖願達成への誓いを新たにした。

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2017年5月1日号

熊本地震1年。被災者慰霊・復興祈願祭営む

熊本1年法要①

熊本県宗務所(濵田義正宗務所長)は4月15日、南阿蘇村の長陽西部小学校跡地で、熊本地震一年被災者慰霊・復興祈願祭を営んだ。直接死50人(日蓮宗徒3人含む)、関連死は170人超の犠牲(日蓮宗徒2人含む)や、未だ4万7千人を超える仮設住宅での避難者を出した大災害から1年。濵田所長は県内僧侶約40人や参列者とともに、慰霊と早期復興へのお題目を捧げた。

大災害を物語る阿蘇大橋の崩落を引き起こした土砂崩れの山肌が間近に一望できる小学校のグラウンドで法要が行われ、読経やお題目が阿蘇の山々にこだました。焼香では、地元の参列者らが香を手向けると、しばらくの間、合掌をしながら頭を垂れ続けた。濵田所長は犠牲者のみならず、生きとし生けるものすべての犠牲が救われることを願い回向した。また挨拶では追悼の涙を流しながら「この震災の現場で、みんなで供養の誠を捧げたかった」と思いを吐露し、参列へ謝意を表した。
参列した檀信徒協議会の宮本清徳会長は、「菩提寺が被災してなんとかしたい思いはあるが、檀信徒の生活も厳しい状態が続いており、1年、2年ではどうにもならないだろう。だけれども、被災したお寺や檀信徒、そしてそのほかの人たちが自立できる本当の復興までみんなで頑張っていきたい」と語った。
南阿蘇村は、関連死含む27人の犠牲者を出した。また阿蘇大橋付近の土砂崩れでは大学生1人が行方不明となり、約4ヵ月後に発見された。同地区には、日蓮宗寺院が2ヵ寺あり、その檀信徒の家庭では未だ水道が復旧していない、ところがあるという。

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