日蓮宗新聞
2014年6月10日号
中央檀信徒研修道場開く 東北で初
日蓮宗宗務院主催の平成26年度第1回中央檀信徒研修道場が宮城県仙台市の本山孝勝寺(谷川日清貫首)で5月24、25日に行われ、宗務所長の推薦を受けた38歳から83歳までの檀信徒16人が全国から集まり、行学二道に励んだ。この道場は、宗門運動「立正安国・お題目結縁運動」をおし進めるため、檀信徒の信行推進者を養成することを目的に開かれている。東北地方での開催は初。
行衣に身を包んだ道場生は宮城県檀信徒青年会員が掲げる横断幕の出迎えを受けた。本堂で行われた開会式では、道場生の一人が代表し「立正安国」の実現に向けて、信仰を増進し、人びとにお題目との縁をつなげていく覚悟を示す宣誓を行った。
道場生は2日間にわたり、田端義宏主任講師(青森県永昌寺住職)と中山観能講師(石川県本成寺住職)から宗門運動や釈尊と法華経の教え、立正安国についてなどの講義を受けた。そのなかで、宗門運動が第2期育成活動の最終年となり、第3期開花活動を迎えるにあたり、合掌を檀信徒のくらしの中に根づかせることが参加者を含む全国檀信徒の目標との説明を受けた。また信仰の継承という家庭内の活動から、さらに道場生がリーダーとなって社会に影響を与える活動を通し、合掌やお題目を伝えて欲しいとの講話に道場生は大きく頷き、自らの信仰を再確認した。約4時間の講義後、田端主任の指導で約1時間の唱題行が行われた。浄心行で姿勢・呼吸・心を整えてからお題目を唱え始めると、参加者の表情は次第に穏やかになった。
夜には法座が行われ「私は何を実践してきたのか?」をテーマに参加者が一人ずつ発言を行った。お題目との出会いや、日々の生活でいかに信仰を実践しているか、また菩提寺の住職を熱心に支えている活動なとが発表された。なかでも、生活でお仏壇を大切にする習慣が若い家族に継承される話が目立ち、安穏な社会をつくる一員として家庭から社会へお題目をつなげる実践が語られた。またお題目は唱えるものではなく、いただくものだという講師の話に感銘を受けたという声も多く聞かれた。
2日目は道場生の使用する部屋や境内を清掃した後、朝勤に参列。改めて東日本大震災の犠牲者への回向や早期復興が祈られた。再び講義を受けた後、2日間の修行を修了した道場生に、特別修了証が授与された。今回で4回目の参加となった女性は「参加すると心が洗われます。帰ってからまた新しく学んだことを実践していきたい」と笑顔で語った。

2014年6月1日号
いのりんぴっくin能登開催
石川県羽咋市滝谷本山妙成寺(藤井日恵貫首)で5月6日、第10回五重塔まつりの開催にあわせて祈りの祭典「いのりんぴっくin能登」と檀信徒研修「祈りの集い」が五重塔まつり実行委員会や石川県第2部宗務所などの主催で開かれ、1000人以上の檀信徒・一般参詣者で賑わった。
現在、妙成寺では加賀藩三代藩主前田利常公の生母・寿福院の発願で元和4年(1618)に建立された五重塔を国宝に昇格させるための運動が行われており、宗務所では管区や檀信徒ともにこの機運を高め、また五重塔まつりに参加する一般の人に妙成寺を通して日蓮宗を知ってもらうためいのりんぴっくを同時開催した。
開会式では、五重塔前で法要を営んた。北陸や京都を弘教した日像上人が洋上の船から唱えたお題目が波に揺られために節のように聞こえたことに由来し、約700年の間、口伝で繋がれてきた高題目が奉詠され東日本大震災や世界平和への祈りが捧げられた。
本堂では、「国宝に最も近い法華伽藍」と題して金沢学院大学美術文化学部の東四柳史明教授が講演し、「加賀百万石文化は、江戸近世で最も栄えた寛永文化のこと。その集大成とも言えるのものは、金沢にあるのではなく、この五重塔などの伽藍を有する滝谷の妙成寺である」と述べた。
また能楽や小唄・笛、能登に伝わる祭り太鼓などの芸能が披露され、地域内外の参詣者が伝統に触れる機会となった。最後には妙成寺の貫首が晋山するときだけに行われる独特の掛け声で練り歩く奴行列が再現された。
宗務所では、「妙成寺の五重塔が国宝になれば、同寺周辺の環境に対する考え方も変わるはず。能登から環境や平和、いのちを大切にすることを檀信徒や地域の人たちと全員で広げていければいい」と語っている。
