日蓮宗新聞

2004年11月20日号

身延山で檀信徒研修道場

平成16年度第2回中央檀信徒研修道場(主催・宗務院伝道部)が10月27日から29日まで山梨県身延町の身延山研修道場で行われた。全国9管区から集まった41歳から69歳までの合わせて22人(うち女性12人)の檀信徒が参加し、晩秋の身延山で祖山の息吹を肌に感じながらの充実した研修となった。
今回の主任講師は植田観樹師(大阪府真如寺住職)、講師は中村潤一師(福岡県真浄寺住職)、書記は植坂泰雄師、上田晃義師、梅沢仁孝師。
研修生は男女別の4班に分かれて集団生活を行い、当番制で講義の準備や食事の配膳を分担。朝は午前4時に起床し、本山の朝勤や御廟所への参拝、道場内の清掃を行う。食事は精進料理で飲酒・喫煙は禁止。日中には講義や写経、奥の院思親閣登詣(2日目)が行われ、さらに就寝前の唱題行など、2日半ではあるが規律に則った仏道研鑽の場となる。
講義は『信行必携Ⅱ─日蓮宗の教え─』(平成13年刊・日蓮宗編集・日蓮宗新聞社発行)に沿って進められ、法華経と日蓮聖人の教えが講師によって分かりやすく解説された。
中村講師は、法華経の精神について童話作家で法華経信仰者の宮沢賢治の作品を取り上げた。『雨ニモマケズ』の詩に出てくる「丈夫ナカラダヲモチ 欲ハナク 決シテ瞋ラズ」の部分に触れ、丈夫な体に感謝して、貪欲(むさぼり)・瞋恚(いかり)・愚癡(おろか)の三毒から離れた生活を過ごす心がけが大切だと述べた。
植田主任講師は、信仰において“すがる”ということは、お題目を身と口と意(こころ)で受持することだとし、「信じて祈れば、眼には見えないけれども神仏がその祈りに応えてくれる。これを“冥応”というが、この見えない力によって常に護られていることに感謝して、皆さんも心に育ったお題目の種を他の人に優しい心で分けてください」とまとめた。
夜に行われる2時間半の法座では、研修生と講師陣が輪になって信仰の疑問や、寺院での信徒活動報告などを語り合った。
「孫に信仰を伝えるにはどうすればよいのか」という60代の男性の質問には、「仏壇の前やお墓で一緒に手を合わせる」「お寺の行事に連れていき、楽しんで身につけてもらう」といった日常で宗教心を育むことの大切さが意見として出された。
研修を振り返り研修生からは「夫の病気が回復したので、4年ぶりにお礼参りも兼ねて参加しました。奥の院登詣をはじめ、やはり研修道場はすばらしいです」(佐々木蝶子さん・神奈川県大明寺檀徒)、「お寺からのすすめもあり、自分から参加しました。厳しい研修かと思っていましたが、家庭的な一面もあってよかったです。食事もとてもおいしかった」(尾崎哲也さん・愛媛県法徳寺檀徒)といった声が聞かれた。
この中央檀信徒研修道場に参加するには、各教区で開催される教区檀信徒研修道場を修了していることが条件となる。今後、各教区、中央(宗務院主催)研修道場の存在をさらに周知させ、熱心な檀信徒の参加を募るには、各寺院での呼びかけが、より重要という意見も出ている。

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2004年11月10日号

いのりの祭典「いのりんぴっく柴又」

「環境・平和・いのち」について、お寺の境内で楽しみながら考えを深める“いのりんぴっく”が10月7・8日、東京・柴又の帝釈天(題経寺・望月是晃住職)で開催された。いのりんぴっく柴又実行委員会(東京東部宗務所)主催、日蓮宗・題経寺・ニッポン放送後援で行われた。特に8日は帝釈天の縁日“庚申”でもあることから柴又の町は賑わいを見せ、仏教国の参加者による国際色豊かなステージが奏でる音につられて足を伸ばす人の姿も。唱題行や法要に加え、文化に根づく仏教精神が、心にも染み入るイベントとなった。

立正安国の精神を掲げ「環境・平和・いのち」運動を推進

7日の前夜祭は、午後5時からの祈願唱題行でスタート。東京東部管区の檀信徒を中心に、平和への思いを込めた100人の祈りの唱題が題経寺祖師堂に響き渡った。
ライトアップされた境内の前夜祭会場は伽藍が神秘的に浮かび上がり、足元には参加者の名前が書かれた色とりどりの紙灯籠が灯される中、特設ステージでオープニングセレモニーが挙行された。
法要は山田流の琴演奏の音色にのせて、草ヶ谷秀人東京東部宗務所長が“いのりんぴっく柴又宣言”を発声。会場の約200人全員が「緑の地球を取り戻そう/戦争のない世界を作ろう/いのちを大事にしよう」と声高らかに読み上げた。
また、アジア音楽の夕べでは、3人の音楽家によるインド音楽に続いて、世界的に活躍する二胡奏者のジャー・パンファン氏が中国音楽を披露し、ゆるやかな秋の夜のひとときを演出した。

雨の中、さまざまな催し

翌日はあいにくの雨模様だったが、“庚申の日”に訪れた人々も「いのりの時間」のほか、さまざまな催しに参加していた。
「いのりの時間」では岩間総長を導師に全員で黙祷を捧げた後、ルンビニー女声コーラスによる宗歌と仏教讃歌「ありがとうの歌」「ささぐみあかし」が奉納され、ルンビニー幼稚園の園児六人による献華、題経寺代表の秋家英子さんらによる献灯が行われた。
読経が行われて境内が静まり返る中、岩間総長がこの催しの主旨と今後の指針を示した、いのりのメッセージを読み上げた(別項)。
スリランカ僧侶のパニャラーマ師も挨拶に立ち、「スリランカでは老眼鏡を買えずに困っている人がいますが、もらった人はすごく喜んで使っています。ありがとうございます」とメッセージを発した。
スリランカでは平均月収の半分という老眼鏡は、全国各地の寺院で集められ、贈られているが、東京東部宗務所の活動は特に盛ん。関係者は定期的に現地に赴き、手渡しているという。
境内隅にはさまざまな形で「環境・平和・いのち」に携わる団体のブースがあり、老眼鏡を贈る運動も紹介され、関心を集めていた。
さらに、帝釈天付属のルンビニー幼稚園の園児もステージに立って大活躍。大きな声で一生懸命に「いのりんぴっく宣言」を発表し、仏讃歌を歌って、参加者の笑顔を誘っていた。
最後に全員がうちわ太鼓を手に唱題し、法要を締めくくった。
法要の前後には江戸太神楽、ミャンマー・ラオスの民族舞踊が披露され、仏教国間の親しみ深い交流がなされた。
また、鳳翔会館では終日、小山内功静師(東京都江戸川区要法寺)らによる庚申布教が行われた。
山門では、ラオスに小中学校校舎を建てるための募金活動が行われた。集まった浄財は、BAC仏教救援センターの手で今後、活かされる。
ブースでラオスを紹介していたアーユス仏教国際協力ネットワークの関係者は、ラオスは来年、建国35周年を迎え、日本との国交50周年という意義深い年でもあることを挙げ、「“忘れられたものを感じることができる国”と言うように、一度行くと二度、三度と訪れる人が多い国。国家財政が厳しいということもあり、皆さんのお越しをお待ちしています」と話していた。

平和メッセージ
いのりのことば

私たちは願い、祈っています。私たちを取りまく地球環境を人類の手で壊さないことを。
私たちは願い、祈っています。私たち一人ひとりのいのちが尊いことを、世界の人々が自覚することを。
そして、私たちは願い、祈っています。「平和」という言葉を叫ばなくてもよい世界になることを。
世界各地で戦争や紛争が広がり、環境破壊が進み、理由もなくいのちが失われる悲惨な事件が絶え間なく引き起こされています。自分の身に降り掛からない災難には目を向けず、自己の利益・欲望のみを求める。そうした社会の悪化は留まる気配すらありません。今まさにその現実を受け止め、新たな道を切り開いていかなければならない時が来ています。
国家・民族・思想・宗教・文化の違いで争い、己の平和・幸せのみを勝ち取るのであっては、決して真の平和・幸せは訪れません。私たち一人ひとりが理解し学び合い、融和・協力し、人類の未来のために、全ての人が共に祈り、共に行動しようではありませんか。
ここに、いのりの祭典「いのりんぴっく柴又」を、柴又帝釈天 題経寺において開催するに際し、立正安国の精神を掲げ、世界中の人々と手を携え、「環境・平和・いのち」を尊ぶ運動を推進していくことを宣言します。

平成十六年十月八日

日蓮宗宗務総長 岩間 湛正

 

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日蓮宗加行所入行会

“瑞門”をくぐる直前、入行僧たちの張りつめた気持ちが辺りの緊張感をいっそう増した。千葉県市川市・大本山中山法華経寺(新井日湛貫首)で11月1日、平成15年度の日蓮宗加行所(大荒行堂)が始まった。入行会が行われたこの日は未明に降ったどしゃぶりの雨もすっかりとやみ、最高気温が22度を記録するほどの陽気だった。今年は昨年より59師多い195師が結界の地で100日間の苦修錬行に励むこととなり、境内には朝早くから大勢の家族や友人、檀信徒らが詰めかけ、さまざまな思いで入行僧を見送った。

檀信徒・家族ら合掌し見送る

午前8時頃、緊張した面持ちで清浄衣に身を包み、剃髪姿の入行僧が徐々に集まり始めた。家族や友人、檀信徒に囲まれ、入行僧はしばしの別れを前に、思い思いの時を過ごした。
午前9時、呼鐘が鳴り響くと入行僧は常修殿へ。見送りの人々は入行僧の背中に向かって大きな声をかけ、姿が見えなくなるまで合掌していた。
入行会は祖師堂で加行所伝主・新井貫首を導師に営まれ、堂内には大音声の読経が響きわたった。
挨拶に立った岩間湛正宗務総長は、「強い意志をもって壱百日の荒行に挑戦するという信仰心に対して深い敬意を表します。行に入るのは自分たちですが、皆さんの後ろには師匠、寺族、檀信徒が大きな期待を寄せています。その期待を裏切ることなく、立派な修行をし、また人間として一段と逞しくなって化導成弁に努めてもらいたいと存じます。全員が無事成満を迎えられるよう勇猛精進、法体健全を心より祈念致します」と述べた。

 続いて、新井伝主が加行所清規に則り、一人の落後者も処罰者もなく頑張って頂きたいと入行僧を激励。村山智城伝師は「これより壱百日間の結界、苦修錬行を始めます。195名各聖の全てを只今より預かります」と挨拶した。
また千葉北部の赤羽浩教宗務所長、全国修法師会連合会の工藤堯幸会長が祝辞を述べ、最後に全堂代表の飛鳥宣央師(東京・大正寺住職)が「行堂清規を遵守し、不惜身命の決意を持って苦修錬行に精進することを誓います」と力強く宣誓した。
報恩読誦会の後、入行僧は常師廟、奥之院を参拝し、いよいよ“瑞門”へ。“瑞門”が近づくに連れ、表情をこわばらせる入行僧も多く、見送りの檀信徒らは「行ってらっしゃい」「頑張って」と、涙ながらに声をかけていた。
また幼い子を持つ入行僧も多く、小さな手をあわせて父親を見送るほほえましい姿も。親子の別れを惜しむ姿は毎年見られるが、今年も恩愛のきずなに周囲がほっと表情を緩ませる光景があちこちで見られた。

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新年のご挨拶。

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