日蓮宗新聞
2024年2月1日号
修行を重ね大きな実に
山梨県総本山身延山久遠寺で1月13日、御年頭会が営まれた。日蓮聖人の御魂に新春のご挨拶を捧げるため、田中恵紳宗務総長をはじめ全国から僧侶檀信徒約300人が参列した。御年頭会は、750年前に身延ご入山後初の新春を迎えられた聖人に弟子檀越が賀を献じるため、ご草庵に参じた故事に由来する。導師を務めた内野日総法主猊下名代の持田日勇総務とともに参列者が法味を言上した。
浜島典彦副総務が代読した内野猊下の新年の挨拶では、まず能登半島地震の被災者や犠牲者へ向けての見舞いと追悼のメッセージが語られた。また身延山の代表的な植物の1つ南天を挙げられ、「難を転じるという南天は夏に白い花を咲かせ、冬に真っ赤な果実を実らせます。大きな試練にも真っ白な心で修行を重ねていくと大きな実になるでしょう」と被災者の気持ちを慮られた。最後に「生きとし生けるものへの感謝と慈悲の心をもつ」「自分にできることを考え行動する」「ともに支え合う」という3つでお題目修行に励むことを求められた。内野猊下は21日にご遷化されたため、最後のご垂教となった。
続いて田中総長は「身延山からお題目の声が世界に響き渡り、〝いのちに合掌〟する安穏なる社会を実現してまいりましょう」と伝えた。身延山参与の堀内光一郎富士急行株式会社代表取締役は世界の現状を顧み「共に生き共に栄えるという身延山が提唱する精神は仏教のみならず、すべての宗教がもたなければなりません」と訴えた。
持田総務は地震後すぐに募金活動を開始し、救援物資を現地支援拠点寺院に届けたことを報告し、「身延山として力を尽くします」と宣言。さらには「さまざまな活動を通して仏教徒の共通理念〝世界の平和と人類の福祉の増進〟を図っていきたい。そのために〝共に生き 共に支える〟という共栄運動で憂いのない清明な精神を作っていきます」と標榜した。