日蓮宗新聞
2024年8月1日号
お盆の季節
私たちが大事にし、指針としているお経『妙法蓮華経』のサンスクリット語での原題は「サッダルマ・プンダリーカ・スートラ」で、「サッ」は【正しい・不思議な・優れた】、「ダルマ」は【法】、「プンダリーカ」は【白蓮華】、「スートラ」は【経】の意味があります。白蓮華は泥のなかから生まれても泥に染まらず、清浄な白い花を咲かせる性質があります。それはまさしく「仏さま」です。ですのでいうなれば「妙法蓮華経」は「私たちが仏さまとなる(白い蓮華を咲かせる)ための正しい教え(法)の経典」となります。「私たち」とはすべての「いのち」と捉えることができ、すべての「いのち」が仏さまになったとき、この世界が仏国土になるのです。
まもなく月遅れのお盆を迎えます。13日に迎え火を焚き、ご先祖さまの精霊をお迎えします。そして送り火を焚いて見送る16日までを一緒に過ごします。生きているものだけが「いのち」ではありません。精霊となったご先祖さまも「いのち」だから迎えるのです。ご先祖さまに感謝してともに過ごしましょう。
8月はまた、お盆と関連して流灯会、盆踊り、花火大会、地域の伝統的な祭りなどが開かれます。ほかにも帰省先では親戚が集まっての会食や同窓会なども催されたりします。そのすべてはさまざまな人と人の「いのち」の交歓の場ともなります。ご先祖さまを含め、今までいただいてきた「いのち」、関係してきた「いのち」、直接関係しなくても間接的に関わった「いのち」、遠くのニュースで感じる「いのち」…。たくさんの「いのち」とともにあり、支えられている自分の「いのち」。そして、その自分の「いのち」も誰かを支えています。
そんなことを見つめ直す機会にしてください。そして自身の「いのち」に感謝し、他者の「いのち」を尊びましょう。今、日蓮宗は「いのちに合掌」を根本理念にしています。すべての「いのち」が仏さまになることを信じて。