日蓮宗新聞

2024年10月1日号

共栄運動が5周年迎える

山梨県総本山身延山久遠寺で共栄運動発足5周年記念大会が9月16日に開かれた。同寺は法華経の精神である共生共栄を全世界に伝えるため、令和元年の同日に発足式を開催した。2年(2020)から本格的なパンデミックとなったコロナ禍により、足踏みを余儀なくされるが、オペラ『日蓮の宇宙~曼荼羅世界』の音楽布教の展開や全日本仏教徒会議の開催、身延山開創750年慶讃大法要、特別文化講座などを行い、理念を多くの人に届けてきた。
日蓮宗管長を務める東京都大本山池上本門寺の菅野日彰貫首猊下をはじめとする僧侶檀信徒を迎えて営まれた記念式典は唱題行で開始。本堂から全世界に向けての祈りが込められたお題目が何遍も唱えられた。発足当時総務を務め、運動の発案者でもある持田日勇法主猊下がご宝前に立たれ、「法華経に説かれた六波羅蜜の菩薩道を共に実践して共生社会を作り、世界全体が共に栄えることを目指します」と改めて理念を掲げられ、「戦乱を除去し、貧困を滅除し、貧富の差を解除して乏しきを憂えず、等しからざるを憂い、万民平等に自由なる生命を発揚させて下さい。そのために強き者を諌め、弱き者を扶け、行わなければならないことを行い、他の人のためにしなければならないことを行って自利利他の精進を誓います」と言上された。
続いて菅野猊下が祝辞に立たれ、「身延山第90世岩間日勇猊下の〝共に生き 共に栄える〟という慈愛に満ちたお言葉の灯が共栄運動という形に成りました。立正安国・世界平和に向け、より一層の事業推進を期待しています」と述べられ、大慈悲心を持つ大切さをご教示された。ほか法華一乗会会長で衆議院議員の森英介氏や参与の小埜栄裕師が祝意と期待を寄せた。
続いて身延山大学客員教授・岡田行弘師の記念講演「共に生き 共に栄える~法華経の聖地より世界へ~」と清興「遺贈ピアノ披露コンサート」が開かれた。岡田師は「人の話を聞くだけでもいい」と話し、六波羅蜜のなかでも布施が最も人として大事だとした。また「人を救う大慈悲心」「困難を忍ぶ柔和忍辱」「存在は空であると覚る境地」の如来の室・衣・座を実践する生き方を説いた。コンサートで使用されたピアノは大阪市本長寺檀信徒だった故恒川裕子さんが遺贈したもの。膵臓がんの闘病中に映像でオペラ『日蓮の宇宙』を鑑賞したことから、音楽の造詣が深い持田猊下を慕い久遠寺に愛用のスタインウェイ製のピアノを贈ると決めたという。このピアノを中心にヴァイオリンやテノール、ソプラノでの音楽が奏でられ、参加者は心地よい空間で満たされた。

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