日蓮宗新聞
2024年5月1日号
日蓮聖人銅像建立から100年・横川定光院
日蓮聖人比叡山ご遊学の聖地・滋賀県大津市横川定光院の聖人銅像建立から100年を迎え、4月20日に同院で記念法要(兵庫県東部宗務所主催・横川定光院護持顕彰会後援)が田中恵紳宗務総長を導師に営まれた。この日のために化粧直しがされた銅像前に参列した近畿教区からの本山貫首や僧侶檀信徒約250人が節目を祝うとともに、聖人が21歳から立教開宗前の32歳までの12年間に、妙法蓮華経と仏法の真髄としてお題目に辿りつかれた同院などでの近畿ご遊学の日々に思いを馳せた。(取材協力・兵庫県東部支局)
銅像建立は、明治期に廃仏毀釈などで荒廃していた同院再興のための「霊跡保存会」(現・同顕彰会)の発会をきっかけに、「万人に常修菩薩行の尊容を讃仰してもらい、立正安国の大精神を心に感じてほしい」と願われたことによる。作者は清澄寺旭が森の聖人銅像や東京・日本橋の麒麟像を製作した彫刻家の渡辺長男氏(1874―1952)で、台座合わせて高さ約9㍍の日蓮聖人像の除幕式が1925年(大正14)に営まれた。今回の修復は銅像のほか歌碑銘板の色補修と石台上部の補修鉄骨をカバーする幕板工事が行われた。幕板は建立当時の格狭間が再現された。法要では、建立当時のように真新しい姿の日蓮聖人像の前で田中総長が、「倍増せるご威光」と慶讃文で讃え、日々の護持顕彰に謝意を表した。
堂内で営まれた春季法要に列席した延暦寺の水尾寂芳執行が挨拶に立ち、「100周年の機会に多くの人たちのご縁を結集して事業を円満成就されました」と喜びをともにした。田中総長は銅像から〝過酷な時代であるからこそ、覚悟を持って法華経を弘めるべし〟と叱咤激励を賜ったと話し、日蓮宗が掲げる「いのちに合掌」を基に伝道布教活動に邁進することを誓った。主催した松本恵孝所長は、「日蓮聖人が生涯をかけて弘められたお題目の法灯を次の代につないでください」と参列者に求めた。
参列した前滋賀県檀信徒協議会長の小林耕さんは「滋賀の代表として毎年2回参拝し、コロナ禍でも参拝を続けてきました。美しく生まれ変わった日蓮聖人銅像のように、気持ちを新たにしてお題目信仰に励んでいきます」と話した。