日蓮宗新聞
2024年6月20日号
全国檀信徒協議会総会開く
第71回日蓮宗全国檀信徒協議会総会が5月16日、東京都大田区日蓮宗宗務院で開催され、全国74管区中62人の代表者が出席した。田中恵紳宗務総長導師の法味言上では出席者がお題目を唱え、能登半島地震犠牲者への追悼と早期復興を願った。
議長を務めた池上幸保全国檀信徒協議会長が「次世代への信仰の継承は檀信徒協議会の最大のテーマ」と述べ、信仰継承の奨励を目的に製作した小冊子『お寺は誰のためにあるの―菩提寺読本』が全国で約3万部もの需要があったことや、全国日蓮宗青年会の能登半島地震支援のために緊急支援金を拠出したことなどを報告した。令和6年度の事業計画では小冊子の頒布促進や、「祖山・霊跡・由緒寺院・宗門史跡護持顕彰」「日蓮宗新聞購読推進」など9つの事業の継続と、新たに「令和6年度能登半島地震被災地支援」が追加された。被災地支援は、北陸地方6管区の今年度会費の免除や、残りの68管区からの1万円の寄付に会の余剰金を足した120万円を石川県第2部への義援金とするもの。ほか7年後に迎える日蓮聖人第750遠忌報恩感謝基金予算案や、令和5年度の活動報告と会計・監査などすべての議案も承認された。
総会後は愛知県名古屋管区会長の奥田智一氏が管内での活動報告を行った。宗務所や管内日蓮宗青年会と協力して、管内行事めぐりの企画や運営、寺院のイベント紹介などが行われた。また伝道部伝道推進課長の櫻井義久師の研修では、「布教方針〝いのちに合掌〟」について長期にわたって継続する意向が示され、各地の会議などで広めて欲しいと伝えられた。
終了後、総会出席者有志23人は千葉県茂原市本山藻原寺への団体参拝を行った。令和7年は北陸地方支援の一環として石川県羽咋市本山妙成寺への参拝を計画している。
2024年6月1日号
愛された法主猊下・内野上人の本葬儀
山梨県総本山身延山久遠寺で第92世法主、第52・53代日蓮宗管長の内野(永上院)日総上人の本葬儀が5月8日、菅野日彰管長猊下を導師に同寺で営まれた。〝愛される身延山〟を提唱し、同寺のバリアフリー化に努められ、いつも絶やされなかったにこやかな笑顔で〝愛された法主猊下〟のご遷化を参列した宗内外の僧侶檀信徒約800人が惜しんだ。内野上人は1月21日に世寿99歳でご遷化された。
菅野猊下は歎徳で、内野上人のご功績やご関係を紹介すると、声を詰まらせながら「まさに長兄、末弟の契りなり」とご追懐された。弔事は、田中恵紳宗務総長、小埜栄裕参与、富田蓮右衛門信徒総代が読み上げ、改めて在りし日のお姿を偲んだ。
式後は東西南北の四方に設けられた4つ(発心・修行・菩提・涅槃)の門を右匝(めぐり)に3回まわる儀式、「四門三匝」が行われた。これは釈尊のように順次修行の段階を積んで仏になるという意味がある。内野上人の弟子や関係者が袈裟などの遺品とかつてのご教導を胸に門をくぐった。
持田日勇法主猊下晋山式
山梨県総本山身延山久遠寺で第93世法主・持田日勇猊下の晋山奉告式が5月7日に営まれた。日蓮聖人第700遠忌報恩奉行会事務局長として数々の事業を導き、日中韓間での仏教の親交を深め、今も精力的に全国各地はもとより海外での布教に尽力する持田猊下のご就任により、日蓮宗や久遠寺の発展に大きな期待を寄せる宗門内外の僧侶檀信徒約800人が参列し、新法主の誕生を祝った。
持田猊下は当日の朝、前6日に参拝された甲府市遠光寺(2面に関連記事)から同寺檀信徒に見送られながら、身延山に向けて出発された。身延町内では、日蓮聖人に身延山を寄進した波木井実長公ゆかりの円実寺と鏡圓坊で読経やお題目で報恩感謝を捧げられた後、身延山の総門をくぐられた。実長公が聖人を迎えた「逢島の遺跡」のそばに建つ身延山始まりの場所を示す発軫閣、菩提梯と本堂の正面にそびえる三門で法味を言上され、大勢の出迎えのなか大玄関から久遠寺に入られた。
式では、持田猊下がご宝前で継承譜にご自身の名前と花押を記入された後、奉告文で「日蓮聖人門下の祖山、日蓮宗の総本山として、聖人の教えを具現化して、現代に即応した立正安国の理想を実現するために世界と社会に働きかける所存なり。それが共生共栄運動なり。日蓮宗と連携し、日本の社会の福祉の向上と世界平和の実現のために精進する覚悟なり」と聖人の御魂にお誓いした。
身延山参与の小埜栄裕師が「第93世法主の猊座にお迎えいたします」と伝えた後、菅野日彰管長猊下が祝辞で持田猊下の功績を紹介され、87歳となった今でも「情熱を失っておられない」と称賛をおくられた。また中国仏教協会長の演覚師からの「持田猊下は中国仏教会にとって古く、親しく、真の友人です。黄金の絆をより堅固なものにしていきましょう」というメッセージが披露された。また信徒総代の富田蓮右衛門さんが「自ら先頭に立ち導く姿にお題目の尊さを思い起こします」と賛辞を呈した。
持田猊下は挨拶で「第92世内野日総上人が掲げた〝愛される身延山〟を発展させるために共生共栄運動を通して〝愛する身延山〟を作ります。同運動は六波羅蜜を実践して菩薩道を行じ、〝他の人をいたわり、他の人を尊重する。他の人を生かし、他の人に生かされる。生かされている命を知り、ともに幸せになる〟。そして共生できない他の人をも差別することなく、利他の精神を以て、日常の生活を生き抜いていきます。世界の平和を願い、争いのない社会を作っていきます」と伝えられた。