2024年6月1日号
持田日勇法主猊下晋山式
山梨県総本山身延山久遠寺で第93世法主・持田日勇猊下の晋山奉告式が5月7日に営まれた。日蓮聖人第700遠忌報恩奉行会事務局長として数々の事業を導き、日中韓間での仏教の親交を深め、今も精力的に全国各地はもとより海外での布教に尽力する持田猊下のご就任により、日蓮宗や久遠寺の発展に大きな期待を寄せる宗門内外の僧侶檀信徒約800人が参列し、新法主の誕生を祝った。
持田猊下は当日の朝、前6日に参拝された甲府市遠光寺(2面に関連記事)から同寺檀信徒に見送られながら、身延山に向けて出発された。身延町内では、日蓮聖人に身延山を寄進した波木井実長公ゆかりの円実寺と鏡圓坊で読経やお題目で報恩感謝を捧げられた後、身延山の総門をくぐられた。実長公が聖人を迎えた「逢島の遺跡」のそばに建つ身延山始まりの場所を示す発軫閣、菩提梯と本堂の正面にそびえる三門で法味を言上され、大勢の出迎えのなか大玄関から久遠寺に入られた。
式では、持田猊下がご宝前で継承譜にご自身の名前と花押を記入された後、奉告文で「日蓮聖人門下の祖山、日蓮宗の総本山として、聖人の教えを具現化して、現代に即応した立正安国の理想を実現するために世界と社会に働きかける所存なり。それが共生共栄運動なり。日蓮宗と連携し、日本の社会の福祉の向上と世界平和の実現のために精進する覚悟なり」と聖人の御魂にお誓いした。
身延山参与の小埜栄裕師が「第93世法主の猊座にお迎えいたします」と伝えた後、菅野日彰管長猊下が祝辞で持田猊下の功績を紹介され、87歳となった今でも「情熱を失っておられない」と称賛をおくられた。また中国仏教協会長の演覚師からの「持田猊下は中国仏教会にとって古く、親しく、真の友人です。黄金の絆をより堅固なものにしていきましょう」というメッセージが披露された。また信徒総代の富田蓮右衛門さんが「自ら先頭に立ち導く姿にお題目の尊さを思い起こします」と賛辞を呈した。
持田猊下は挨拶で「第92世内野日総上人が掲げた〝愛される身延山〟を発展させるために共生共栄運動を通して〝愛する身延山〟を作ります。同運動は六波羅蜜を実践して菩薩道を行じ、〝他の人をいたわり、他の人を尊重する。他の人を生かし、他の人に生かされる。生かされている命を知り、ともに幸せになる〟。そして共生できない他の人をも差別することなく、利他の精神を以て、日常の生活を生き抜いていきます。世界の平和を願い、争いのない社会を作っていきます」と伝えられた。
