日蓮宗新聞
2021年7月20日号
鎌倉布教拠点地鎮祭
日蓮宗が所有する神奈川県鎌倉市小町の日蓮聖人辻説法跡地の隣接地(以下=鎌倉布教拠点)で地鎮祭が6月23日に営まれた。中川法政宗務総長をはじめ、建設される六角堂、及び展示ホールの設計者や施工業者ら関係者約20人が参列し、完成までの安全などを祈った。
鎌倉布教拠点の土地(377㎡)は平成21年の第98臨時宗会で取得が決定されたが、23年に発生した東日本大震災への緊急対応などのため、建設計画が止まっていた。震災7年後の平成30年に中川総長が計画を再始動。地元管区の神奈川県第2部宗務所長の楠山泰道師を委員長にした鎌倉布教拠点建設検討委員会で検討が重ねられた結果、身延山大学仏教学部の柳本伊左雄特任教授が手がける日蓮聖人が若き時代に辻説法する姿のご尊像を中央に安置する六角堂と展示ホールの建設(共に鉄筋コンクリート造・地上1階)が決まった。
地鎮祭には楠山委員長を導師に修法師約20人が出仕。ご宝前に中川総長揮毫の角塔婆と木剣、そして数珠と経本が奉安され儀礼に則って営まれた。途中、鎌入れの儀を設計士の椎名純氏、鍬入れの儀を中川総長、鋤入れの儀を施工業者の松井隆弘松井建設社長が行い、さらなる安全を祈願した。
中川総長は挨拶に立ち、「土地取得から12年。いろんな人たちの思いがこの地につまっています。降誕から800年を費やして日蓮聖人布教の原点であるこの聖地に日蓮聖人像とお堂が建ち、真の姿が現れ始める素晴らしい日になりました。完成した暁には参拝者に日蓮聖人像の眼と対峙していただき、心のなかの迷いや曇が消え、困難に立ち向かう新しい自分を誕生させる覚醒の霊地になることを確信しています」と熱い思いを伝えた。年内完成を目指している。

第748回開闢会
山梨県総本山身延山久遠寺で6月13日、第748回開闢会御草庵法要が営まれた。昨年と同様に、例年当日に行われていた身延山の初夏を彩るご入山行列は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から中止となったが、法要は内野日総法主猊下を導師に厳粛に行われ、日蓮聖人ご在世の往時を偲び、報恩感謝が捧げられた。
今年の同法要は、久遠寺で展開されている共栄運動の概念から、再来年に迎える開闢750年の節目を僧侶檀信徒ともに祝おうと、身延町長の望月幹也氏や身延山本願人会の代表7人が御草庵内に参列し、法要中は献華献灯などの諸役を担った。また来年、ご入山行列が行われれば、富木常忍や四条頼基、お万の方など、日蓮聖人代や日蓮宗史上に名を残す檀越に扮した檀信徒も参列し、華を添える予定となっている。
法要は例年通り、緑豊かな御草庵や隣接する日蓮聖人御廟所に雅楽の音を鳴り響かせ開始。声明、読経、浜島典彦副総務による『身延山御書』の奉読、唱題と続き、内野猊下が懇ろに回向を捧げられた。
内野猊下は、「令和5年は日蓮聖人が身延山へご入山されてから750年の慶祝の歳に当たります。聖人、波瀾万丈のご生涯の中で、晩年の9年間を心安く法華経を読誦し、弟子・信徒を育成されました霊地が宗祖棲神の身延山でございます。私たちが学ぶ日蓮聖人の数多くのお手紙が、この祖山から発信されております。日蓮聖人が身延山で覚知され、ご教示くださった霊山浄土の世界実現のため、門下僧侶檀信徒一体となり、心を一にしてお題目をお唱えして参りましょう。お題目の功徳により、今ある苦しみを乗り越え、未来の安らぎのある幸せな人生を切り開いてまいりましょう」と話されている。
