2017年5月1日号
熊本地震1年。被災者慰霊・復興祈願祭営む
熊本県宗務所(濵田義正宗務所長)は4月15日、南阿蘇村の長陽西部小学校跡地で、熊本地震一年被災者慰霊・復興祈願祭を営んだ。直接死50人(日蓮宗徒3人含む)、関連死は170人超の犠牲(日蓮宗徒2人含む)や、未だ4万7千人を超える仮設住宅での避難者を出した大災害から1年。濵田所長は県内僧侶約40人や参列者とともに、慰霊と早期復興へのお題目を捧げた。
大災害を物語る阿蘇大橋の崩落を引き起こした土砂崩れの山肌が間近に一望できる小学校のグラウンドで法要が行われ、読経やお題目が阿蘇の山々にこだました。焼香では、地元の参列者らが香を手向けると、しばらくの間、合掌をしながら頭を垂れ続けた。濵田所長は犠牲者のみならず、生きとし生けるものすべての犠牲が救われることを願い回向した。また挨拶では追悼の涙を流しながら「この震災の現場で、みんなで供養の誠を捧げたかった」と思いを吐露し、参列へ謝意を表した。
参列した檀信徒協議会の宮本清徳会長は、「菩提寺が被災してなんとかしたい思いはあるが、檀信徒の生活も厳しい状態が続いており、1年、2年ではどうにもならないだろう。だけれども、被災したお寺や檀信徒、そしてそのほかの人たちが自立できる本当の復興までみんなで頑張っていきたい」と語った。
南阿蘇村は、関連死含む27人の犠牲者を出した。また阿蘇大橋付近の土砂崩れでは大学生1人が行方不明となり、約4ヵ月後に発見された。同地区には、日蓮宗寺院が2ヵ寺あり、その檀信徒の家庭では未だ水道が復旧していない、ところがあるという。
