2016年5月10日号
熊本地震・福岡でも被害
平成28年熊本地震本震から10日が経過、災害対策本部(小林順光本部長=宗務総長)に被害情報が入った寺院は福岡県と熊本県の4ヵ寺が追加され、4月27日現在計48ヵ寺となった。大分県支部からは、とくに揺れが激しかった由布市方面に日蓮宗寺院が少なく、管内では軽微な被害しかなかったという報告が入った。
同本部では、4月22日に川口智康副本部長が現地入りした。川口副本部長らは熊本県支部に義援金100万円と見舞金30万円を届けたのち、熊本市と益城町の被災した20ヵ寺を視察した。現地で行った聞き取り調査では、余震による被害の大きな拡大は見られなかったものの、被災した本堂・庫裡などが降雨時、想定以上に雨漏りすることが判明した。多くの寺院は、境内地・堂内の片付けが未着手の状態で、「余震の収束を待って堂内の整理を始めたいが、なにから手を付けていいのかわからない」と話す僧侶もいたという。被害が少なかった寺院を避難場所として利用した東日本大震災と違い、熊本地震では寺院が建物として機能を失ったケースが多く、避難場所となっている箇所はない。梅雨期や台風シーズンを控え、引き続き厳しい状況が続くことが予想される。
また災害対策本部が開設した「日蓮宗義援金」の口座には全国各地の寺院、僧侶、檀信徒から連日、義援金が届けられている。千葉県南部宗務所(荻野泰継所長)は義援金1千万円を4月26日、日蓮宗宗務院に志納した。荻野所長は「降誕八百年をお迎えする地元として、率先して支援にあたりたい。復興にお役立ていただければと思っている。管区からの支援はこれで終わるわけではなく、早期復興に向け2次、3次の支援も考えている」と話した。
またこの日は、宗務院で災害対策会議が開かれ、川口副本部長らから現地の被害状況の報告が行われたほか、熊本災害対策支部に運営資金として3百万円が支払われることが決定した。