小松原法難七五〇年宗門法要

日蓮聖人が遭われた小松原法難（文永元年＝１２６４）から11月11日で７５０年を迎えた。法難の霊跡、鴨川市本山鏡忍寺（原日透貫首＝写真円内）ではこの記念の節目に小松原法難七五〇年奉行会（総裁＝原貫首）を平成23年９月に結成し、顕彰に努力してきた。その間、全国から多くの僧侶檀信徒が鏡忍寺などの法難の関係寺院へ参拝に訪れた。ご正当の聖日には、締めくくりとして内野日総日蓮宗管長を導師に宗門法要が営まれた。参列した約４５０人は、ご法難で「法華経の行者」と確信され、法華経弘通に命をかけられた日蓮聖人や殉教した弟子鏡忍坊日曉上人と檀越工藤吉隆公（妙隆院日玉上人）に報恩感謝のお題目を唱えた。

当日は、東京谷中と堀之内の宗立学寮生と檀信徒の３組計約２００人の行脚隊が市内を唱題行脚し、お題目を轟かせた。そのまま鏡忍寺近くで稚児や修法師、原貫首と合流し、総勢３００人が練り行列を行った。同寺到着後、小松原法難当時、槇の木から鬼子母神が現れ、襲ってきた地頭の東条景信から日蓮聖人を護ったという境内の「降神の槇」を約40人の修法師が囲み感謝の祈祷を行った。
ご正当宗門法要は、７歳から10歳までの稚児の女の子７人が独特の節で法華経の経文を読み讃え、手を広げ閉じる振り付けが特徴の鏡忍寺に伝わる天童荘厳之儀から始まった。修法導師を原貫首が務めた御宝前法楽に続き、日蓮聖人がご法難で色読された「法華経を説く者は、刀杖を加えられるであろう」と書かれる「勧持品第十三」を読経した。この日蓮聖人の色読を内野管長猊下は表白文で、「日本第一の法華経の行者たるを確信せん。我らここに小松原法難を慎んで讃ずるに、後五百歳の濁世にあって、広宣流布せし末法の救護の大教たるゆえん、宗祖が本化独朗の境地、法界同体の大信念を再認す」と述べられ、宗門運動で掲げる「安穏な社会づくり、人づくり」を日蓮宗徒の使命とし、「一大決意をもって歩むべきなり」と閉じられた。
小松原法難の凄惨な様子が描かれる日蓮聖人ご遺文の『南条兵衛七郎殿御書』を唱和した後、全国檀信徒協議会の池上幸保会長が「我ら末代の門下たる自覚に立ち、立正安国の誓いとお題目結縁の願いを実現せんことを」と誓願文を読み上げた。
内野管長猊下はご宝前で参列者に向かわれ、御経頂戴をされた後、「日蓮聖人の遭われたご法難で一番傷ましいのがこの小松原法難ではないでしょうか。この７５０年のご縁を機として、日蓮聖人のみ教えをしっかりと次の世代に受け継いでいけば、家庭、地域社会、そして日本国、世界に向かって御題目の結縁が大きく広がっていくことでございましょう。また檀信徒のみなさまの大事な人生が、中身の濃い実りある人生となりますように、ますますご精進していただきたいと思います」とご教示された。
東京都八王子から参拝に訪れた女性檀信徒（73）は、「私の使命は少なくとも明日までお題目を伝えること。もし百まで生きればあと約30年の間、お題目を伝えたい。それが節目となるこの日までお題目を伝えてきてくれた先人への報恩です」とお題目弘通を誓った。