日蓮宗新聞

2008年12月1日号

国宝『観心本尊抄』はじめ 数十点のご遺文を一般公開

千葉県市川市の大本山中山法華経寺(新井日湛貫首)の聖教殿で11月3日、恒例の「お風入れ」が行われ、国宝『観心本尊抄』をはじめ、数十点のご遺文が一般公開された。
法華経寺はもともと、日蓮聖人の大檀越・富木常忍(日常上人)が、聖人ご入滅ののち出家して建立した寺院。日常上人はご遺文の蒐集に尽力し、臨終には目録を作成してその恪護を後代に厳命した。以来700余年、ご遺文の恪護を旨としてきた法華経寺には、現存する真蹟遺文の大部分が所蔵されている。
そのご遺文を所蔵している聖教殿は、毎年文化の日にだけ開扉され、お風入れとご真蹟の確認が行われている。天候や湿度によっては開扉されない年もあり、ご真蹟を身近に拝すことのできる貴重な機会となっている。
午前11時の開扉を待つ人々が列をなす中、新井貫首を導師に開扉の法要が営まれ、奉展が行われた。閉扉の午後1時までに500人を超す人が、寺尾英智身延山大学
教授や安中尚史立正大学教授の説明を受けながら拝観した。
中尾堯立正大学名誉教授は「例年『観心本尊抄』は冒頭か章末を広げていますが、今年は最も肝要な教えである45字法体の部分を初めて展観しました」と解説。
渡邉宝陽勧学院長は45字法体について「この世は苦しい世界だけれども、この世にこそお釈迦さまがいらっしゃる、この世こそが本時の娑婆世界、という教えです
」と説いた。
拝観を終えた人は「700年以上前に日蓮聖人が書かれた文字を間近に拝して、不思議に思うと同時に感激しました」と涙を浮かべて話していた。またこの日のため
に福井県越前市から団参に来たという檀徒は「ただただ、もったいなかったです」と感激の面持ちで話してくれた。
◇   ◇

◆聖教殿建立の背景
「聖教殿」の生みの親は、東京帝国大学法学部長などを歴任した国際法学者・山田三良博士(1869―1965)である。その妻・繁子夫人は日蓮聖人のご教化を直々
に受けた静岡県伊豆の代官・韮山の江川家の出身で、先祖から脈々と受け継がれてきた篤い信仰心で夫を感化。やがて山田博士は熱心な法華信者となり、大正3年、
矢野茂大審院検事、小林一郎中央大学教授と共に在家主導の法華信仰グループ「法華会」を設立し、在家指導者となった。
隔てて大正11年、法華経寺からご遺文が紛失する事件が起こった。ご遺文は半年後に発見されたが、清水龍山先生指導のもと、山田博士はご遺文格護のための「
聖教殿」造営を発願した。法華会と日蓮宗、法華経寺の三者合意のため力を尽くして聖教護持財団を創設し、理事長となって自ら資金集めに東奔西走。大正12年の
発願から足かけ3年を経て同15年に着工、6年の歳月をかけ、昭和6年5月に落慶竣工式を迎えた。以後、聖教護持財団がご遺文の格護や聖教殿の維持にあたっている

渡邉勧学院長は「日蓮宗の宗教性は、紙墨を根幹として高められてきた一面を持ちます。お曼荼羅やご遺文などによって支えられてきたのが日蓮宗なのです。こ
の聖教殿の総工費24万円余りのうち20万円余りを寄進したのが山田博士ら、信仰篤き在家信者の方々でした。その浄行を思い起こし、宗門にとって、私たち門下に
とって一番大切なものをどう護持していくか――、いま奮い立たなければなりません」と熱く語った。

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