2023年3月1日号
115人が無事に成満
千葉県市川市大本山中山法華経寺に開設されていた日蓮宗の秘法・修法を伝授する寒壱百日間の読経水行三昧の結界修行場・加行所が2月10日に修了し、成満会が営まれた。午前6時頃、松宏泉伝師や初行から参籠までの僧侶115人が開いた結界を隔てる瑞門をくぐると、待ちわびた檀信徒が目当ての僧侶の名前を呼ぶとともに「お疲れさま!」とねぎらいの言葉をかけた。
法要では僧侶全員が無事の成満への報恩のために法華経信仰者守護の子母神へ読経を捧げた。修行僧は加行所伝主の新井日湛同寺貫首から修行を果たした証である許証を受けるとともに、初行の僧侶67人に田中恵紳宗務総長から修法師辞令が交付された。挨拶に立った田中総長は僧侶の眼に達成感と充実感が満ち溢れていると讃え、「まさに日蓮聖人から法華経弘通の命を託された先達です。立正安国・四海帰妙の祖願達成に向け活躍することを期待します」と激励した。松伝師は「感謝してもしきれない尊い檀信徒の皆さまに囲まれながら成満会を迎えられたことをうれしく思います。みんなで成満するんだという修行僧の異体同心の姿にお礼を述べるとともに、これから多くの悩み苦しむ人びとを救っていただき、そして尊い教えの法華経を届け、ありがたいお題目を唱えてもらうように活躍する姿を楽しみにしています」と訓辞した。最後に全堂代表を務めた阿部龍翔師は「仏力、法力、経力、信力、念力をもって広宣流布に邁進していきます」と謝辞で誓った。
式後、加行所から晴れ晴れとした顔を湛えて出てきた初行の一戸将弘師は「入行当初は修行を受動的に感じましたが、日を重ねるごとに〝させていただいている〟と思い始め、最後の日まで1日1日が惜しくなりました。〝辛い〟という経験を胸に、僧侶として、修法師として人びとに寄り添っていきたいと思います」と話した。また初行の谷本亮皓師を迎えに来た長崎県長光寺檀信徒の村端紀代子さん(83)は「瑞門から出てきた姿に言葉にならず、頭が下がりました。ご苦労さま、ありがとうと伝えたい」と喜んだ。