2022年9月1日号
東京・千鳥ヶ淵戦没者追善供養並世界立正平和祈願法要
日蓮宗宗務院主催の「千鳥ヶ淵戦没者追善供養並世界立正平和祈願法要」が、77回目の終戦記念日となる8月15日に東京都千代田区の千鳥ヶ淵戦没者墓苑で営まれた。
同墓苑は先の大戦において海外で戦死戦没した軍人・軍属・一般邦人のなかで身元不明で引き取り手のない遺骨を納めるために国が昭和34年に建設した慰霊施設。以来、日蓮宗では毎年欠かすことなく終戦記念日に大曼荼羅御本尊を奉安してすべての戦没者を慰霊する法要を営んできた。同墓苑には、37万267柱の遺骨が納められている。(令和4年7月19日現在)
法要は、田中恵紳宗務総長が導師を務め、東京4管区の宗務所長と修法師会や声明師会の僧侶が出仕して懇ろに戦没者の諸霊に追善の誠を捧げた。あわせて法華経を説き共生社会の実現と世界平和をこの土に築き上げることを誓った。
法要後、挨拶に立った田中総長は、世界各所の終わりの見えない戦いを憂い、「暴力によって解決される問題は存在せず、そこから生み出されるものは皆無」とした。また戦後に生まれた者の役割を「史実に向き合い、数多の犠牲によって世界の歴史と文明が紡がれてきた事実を忘れぬこと」と話し、「この法儀がすべてのいのちと、その希望を未来につなげる縁となることを切望します」と結んだ。塚田章同墓苑奉仕会理事長は挨拶で64回目となった同法要への謝意を述べ、「本日の法要に参列させていただき、私自身の心が浄化されました」と語り背筋を伸ばした。
戦死した叔父を持ち、10年ほど同法要の参列を続けているという笹間芳彦さん(東京都最教寺檀信徒)は新型コロナ感染防止のため参列を控えようか悩んだという。それでも「同じ千代田区に住んでいる私が、来られない人の分も祈らなくてはと思い参列した」と話し、この法要への思いをにじませた。
日蓮宗宗務院では新型コロナウイルス感染状況を鑑み、自宅などでの参列ができるようオンライン中継を行った。
