2021年12月20日号
「鎌倉 日蓮堂」完成
日蓮宗が神奈川県鎌倉市小町の日蓮聖人辻説法跡地の隣接地(=鎌倉布教拠点、377・79㎡)で建設を進めていた「鎌倉日蓮堂」が完成し、12月9日に落慶法要が営まれた。堂内には身延山大学が彫像した30歳代前半を想定した日蓮聖人像が安置され、苦しみが多い鎌倉時代において庶民が幸せに暮らせる世の中を目指し、布教に励まれる若きお姿が、平成21年の土地取得から12年を経た聖人降誕800年の記念の年に蘇った。
敷地には壁や門が設けられておらず、鉄筋コンクリートの建物はガラス張りで午後9時まで堂内がライトで照らされるため、いつでも日蓮聖人像に相対することができる施設となっている。高さ約1・8㍍の聖人像や台座も低く作られていることから、視線が近いことも特徴。また聖人像を手掛けた身延山大学の柳本伊左雄特任教授は、「当初は柔らかい表情を想定していましたが、進めていくうちに辻説法のお姿は力強かったに違いないと思い直し、今回の表情となりました。また口の中には、心にいつもお持ちであったであろう思い〝立正安国〟という文字を彫りました」と制作に込めた思いを話した。さらに建物奥には一枚板に彫られた一遍首題が壁にかけられており、聖人像の背中越しに南無妙法蓮華経のお題目が見えるようになっている。
法要では開眼修法が行われた後、導師を務めた中川法政宗務総長が日蓮聖人へ完成を奉告するとともに、嘉納していただくことを念願した。祝辞では、隣の辻説法跡地を所有・管理する国柱会の田中壮谷賽主が「今回のお堂の完成により、辻説法跡地がより日蓮聖人に関係している場所だと知ってもらうことができるようになりました。私たちの本分である一天四海皆帰妙法に向けてともに協力していけることを願います」と期待した。
中川総長の謝辞では、「想像していたよりもお痩せになられた日蓮聖人像を拝した時、鎌倉時代に聖人が玄題旗を掲げて立たれ、杖木石つぶて雨嵐の中でお題目、法華経を説くそのお姿が、お窶れでないはずはなく、この地での真のお姿はまさしくこのお姿だと思い知りました。日に日に、聖人の魂魄がお像に宿り、世界に向けてのお題目・法華経の発信地となることを確信しております」と力を込めた。
