2011年5月10日号
東日本大震災 渡邊本部長、三県支部長と合同会合
被害寺院への対応を嘆願
日蓮宗災害対策本部(渡邊照敏本部長)では4月21日、渡邊本部長が宮城県災害対策支部の置かれている仙台市本山孝勝寺(谷川日清貫首)を訪れ、福島・宮城・岩手三県の災害対策支部長と合同会合を行った。被災寺院では住職・寺族の疲労が蓄積しており長期のサポートを要望する声などもあがった。
出席したのは、福島・中田本庸支部長、宮城・日野教恵支部長、岩手・梅澤宣雄支部長と、渡邊照敏本部長、梶山寛潮副本部長、宗務院の職員ら9人。
はじめに渡邊本部長が三管区へお見舞いの言葉を述べた後、各支部長から追加報告が行われた。
岩手県では依然続く余震の影響を受け、被害内容が異なってきていることが報告された。山田町善慶寺(三浦恵伸住職)では裏山の斜面に亀裂が発生し、自治体の避難指示を受けて現
在
避難中。また、釜石市仙寿院(芝﨑惠應住職)でも裏山の斜面に亀裂が生じ、墓地と本堂への二次被害が心配されている。
福島県からは原子力発電所の問題が深刻であることが伝えられた。立ち入り禁止区域内にある双葉町妙勝寺と富岡町妙栄寺の二ヵ寺の視察がいまだ叶わず、原子力発電所での仕事に携わる妙栄寺親族の話では、本堂の屋根が一部落下し堂内は使用できない状態にあるという。二ヵ寺は長期間立ち入ることができず対処や管理ができないことから建物の劣化を懸念している。
続いて、各支部が取り組む救援対策の進捗状況が説明された。
宮城県には次々と全国から救援物資が届いているが、避難所に
届けるのは地元の被災寺院であるため個々の負担が一層増すこと、地域や被害内容によって必要とする物資が異なること、夏に向けての暑さ対策など懸念事項も上げられた。
岩手県では、遠野市智恩寺(西山昌秀住職)が救援拠点としての役割を担っており、管区日蓮宗青年会や全国日青会などの協力を得て、被災地への救援活動を展開。特に、遺体安置所・火葬場での回向、避難した檀徒宅の瓦礫の撤去を中心に実施している。避難所となっている本宗寺院のうち釜石市仙寿院では毎日朝勤を避難者と共に行い犠牲者の慰霊を実施、被災住民の心のケアに力を入れている。
全焼した大槌町蓮乗寺(木藤養顕住職)では、プレハブの仮本堂を建立し、4月20日に避難所から引っ越しを行った。流失・焼失した寺院では最低限度の法務が行えるよう仏像・仏具・法衣などの提供を求めていることが伝えられた。
福島県には、放射能汚染の問題によってボランティア団体等が入っておらず、沿岸部では道路寸断などのため被害調査ができていない地域があること、沿岸地域の津波被害が甚大で、相馬市仏立寺(渡辺良穏住職)、南相馬市法恩教会(早坂本勝担任)では特に多くの檀徒が犠牲となっていると報告された。
最後にさまざまな要望があがった。三県ともに、沿岸部は多くの被害や犠牲により寺院運営が厳しくなる懸念があり、宗費の減免措置などの温情を嘆願。また、教師が連日葬儀に奔走しており、法務のサポートを長期的に行う僧侶のボランティアを探していること、移転せざるを得なくなった寺院への対応などについても質疑応答が重ねられた。
最後に渡邊本部長は、救援計画の策定に全力を尽くすことを伝え、三支部長に激励の言葉を送った。