2009年10月20日号
大本山中山法華経寺で「赴援の儀」
門外不出の宝物 750年の節目、京に向け発つ
「日蓮と法華の名宝」展の目玉とも言える、日蓮聖人ご真筆の国宝『立正安国論』を恪護する千葉県市川市の大本山中山法華経寺(新井日湛貫首)で、開幕を控えた10月4日、京都国立博物館に貸し出すための「赴援の儀」が営まれた。
開基・常修院日常上人の遺命を守り、ご遺文の恪護を旨としてきた法華経寺には、現存するご真蹟遺文の大部分が所蔵されており、今回の特別展覧会で展観される同寺の宝物は『立正安国論』、日蓮聖人ご真筆『五輪九字明秘密義釈』、『三教指帰抄』、「蓮池蒔絵三重箱」の計四点。
雨天の狭間の晴天となった4日、赴援の儀に先立ち、『立正安国論』をはじめとするご真蹟遺文を所蔵する「聖教殿」の扉が開かれ、「御開扉法要」を厳修。新井貫首を導師に法味が言上された後、輿にのせられた『立正安国論』が僧侶四人によって厳かに運び出され、祖師堂のご宝前に『立正安国論』が安置された。
続いて「赴援の儀」を厳修。新井貫首は特別展覧会の無事円成を祈り、張田珠潮宗務院総務局長に出展目録を手渡した。
新井貫首は「当山のご霊宝は日常上人以来“殿居の制”によって不寝番で守られてきた門外不出の宝物」と宗祖滅後750年、連綿として恪護されきた経緯を話し、「『立正安国論』の研究が盛り上がっている奏進750年の節目に、たくさんの人に拝していただきたい」と挨拶。続いて張田局長が「日蓮宗のみならず国の宝である『立正安国論』を通して、かつて京の町にお題目が響き渡っていたことを思い返していただきたい」と挨拶した。
法要後、京都国立博物館学芸部の大原嘉豊氏らが『立正安国論』他三点を念入りに確認。新井貫首は京都に向けて出発した『立正安国論』の無事を祈り、いつまでも見送っていた。