日蓮宗新聞

2009年7月10日号

10年に一度の『血脈修行会』

青森県鰺ヶ沢永昌寺で地区に伝わる法門伝承の儀式

「亡くなってから戒名をつけられても、当の本人はそれを知りません。どう死ぬか、よりもどう生きるかの方が大事なんです。キリスト教徒が洗礼でクリスチャンネームを与えられるように、仏教徒としての新しい名前が与えられる儀式が血脈修行会。これによって自分がどう生きなければいけないのか、仏子としてのアイデンティティーが芽生えます。日蓮聖人もお弟子さんに生前戒名を与えていたんですよ」
◇   ◇
青森県鰺ヶ沢永昌寺(田端義宏住職)で6月5日から7日まで「第5回血脈修行会」が行われ、僧侶のべ45人、檀信徒はのべ約300人が参加した。
血脈修行会は、日蓮宗では青森 県の西北五地区で行われている珍しい儀式。血脈とは師から弟子へと法門が伝承されることで、親から子へと血が受け継がれるのになぞらえて、こう呼ばれている。
この儀式は10年に一度しか行われない。参加1回目は仏教徒としての名前、男性なら法号、女性なら妙号が与えられる。2回目には日号、日蓮宗宗徒としての名前。3回目で院号が与えられ、戒名としての体裁が整う。戒名を得るのに、最低20年はかかるのだ。
田端師は語る。「もちろん、血脈修行会に参加しなくても、亡くなられた方には戒名をつけます。ただ戒名をお金で買うような意識には異議を唱えたい。仏教徒としてしっかりお寺に足を運んで、積功累徳の修行をして、“お足”で良い戒名を得てほしい」
◇   ◇
 参加者は、午前は修行、午後は講義を受け、行・学の二道に励む。
午前の懺悔滅罪礼拝行、仏子再誕誓願行などの「行」の後、田端師は「法華経はものごと全部を善意に受けとめること。この世の中に悪い奴はいっぱいいる。しかしそんな人たちの中にも仏性がある。その仏さまを大切にしていきましょうというのが法華経の教えであり、またお題目を唱えるということです」と挨拶した。
午後の「学」。講師には浜島典彦師(東京都修性院住職)と大西秀樹師(京都府松林院住職)が招かれた。
浜島師は「涅槃経に“依法不依人”とあるように、日蓮聖人は永遠に変わらない“法”に帰依しました。法華経はすべての人が救いの対象。信じる信じないではなく、自分のこととしてそれに気がついた時、救われるのです」と、笑いと蘊蓄あふれる法話を披露した。
大西師は「“南無妙法蓮華経”と唱えて成れる“仏”とは一体何なのか、身延山大学の学長だった室住一妙先生のご自坊に聞きにいったことがあります。その際、“善い行いをしなさい、悪いと思ったことはやめなさい、人に親切にしなさい、そういう気持ちで毎日お題目を唱えて生きていきなさい”と言われ、そういう仏さまになら成れるかもしれないし、人にも成っていただけるかもしれない、と思いました」と自らの領解・法悦を涙ながらに語り、聴衆も胸を打たれていた。
最終日には成満式が行われ、参加者に血脈が授与された。
「皆さんは死装束をまとっています。昨日までの自分は死んだのです。仏子としての誇りと自覚をもって生まれ変わったのです。変われる自分を嬉しいと思ってほしいし、尊いと思ってほしい」と田端師は温かく微笑んだ。

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新年のご挨拶。

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