日蓮宗新聞
2009年4月1日号
身延山五重塔 「仏舎利遷座並びに入仏開眼式」
山梨県身延町の総本山身延山久遠寺(内野日総法主)で2月26日、「身延山五重塔仏舎利遷座並びに入仏開眼式」が営まれ、身延山参与、祖山常置会議員、五重塔建立奉賛会実行委員をはじめ工事関係者や信徒など約300人が参列した。
身延山の五重塔は昨年10月に竣工しており、このたびの仏舎利遷座式では、御真骨堂に仮に奉安されていた仏舎利が五重塔に遷座(神仏の座を他所へうつすこと)され、あわせて五重塔内陣に祀られたご本尊の開眼が行われた。
法要は午前11時半から、井上瑞雄身延山久遠寺総務を導師に営まれた。式衆の読経が響き、散華舞う境内を、本山生四人が担ぐ輦台に乗せられた仏舎利が御真骨堂から報恩閣、祖師堂、本堂前を通って五重塔へと厳かに進み、「仏舎利遷座之儀」が執り行われた。
引き続き杉浦則雄身延山久遠寺法務部長を修法導師に開眼修法が行われ、五重塔を取り囲む修法師により、力のこもった修法がなされた。
法要後の挨拶で井上総務は「本日は五重塔誕生の日です。日蓮聖人のご誓願“一天四海皆帰妙法”に向けて、お題目が身延山から全世界に発信されなければなりません。この五重塔がお題目発信の基地として、未来永劫に向かって輝きを増すのは間違いありません」と力強く宣言し、5月13日から17日までの5日間に行われる五重塔落成慶讃大法要への参列を呼びかけた。
仏舎利はスリランカから
このたび五重塔に奉安された仏舎利は、平成16年、身延山丈六堂に安置されている丈六釈尊御尊像の修復が完成した際、元スリランカ駐日大使夫人のダミニ・バス・ナヤケ女史によって寄進されたもの。身延山久遠寺は身延山ロータス会として、スリランカ国内3ヵ所に身延山別院や支院、幼稚園を運営しているため、その功績に対し奉納されたもので、仏舎利は丈六堂に奉安されていたが、五重塔の完成により遷座するため、ご真骨堂へ仮安置されていた。
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五重塔はそもそも、釈尊ご入滅後、舎利を奉安するためにインドで造られた塔(ストゥーパ)が形を変えて伝来したもの。この日、五重塔への仏舎利遷座・入仏開眼式で吹きこまれた釈尊の棲神に呼応するかのように、境内のしだれ桜が芽吹きだそうとしていた。