2005年1月10日号
全国檀信徒青年会管区代表者集う
寺院を支える檀信徒の青年会代表たちが全国から集まり、昨年12月4日、「平成16年度全国檀信徒青年会管区代表者会議」が東京・池上の日蓮宗宗務院で行われた。“檀信徒の全国的な意見交換の場を”と平成11年度に初めて開催されたこの会議は今年で6回を数え、今年からは各管区一人に旅費が支給された。
分散会では、「お寺離れ」や「信仰相続の危機」が叫ばれる中にあって活発な信徒活動を展開している青年会の活動紹介や、各青年会の現状報告を通して、活発な意見交換がなされた。青年会同士で交流を深めようと顔合わせの約束を交わす姿もあり、参加者は日蓮宗発展への一翼を担おうと思いを新たに手を取り合った。
出席したのは19管区の檀信徒33人。
開会式で田端義宏伝道部長は、一寺院一信徒青年会の発足を呼びかけ「74管区すべての代表が揃った時には、皆さんが核となって盛り上げてください」と激励。全国檀信徒協議会の田本憲吾副会長が「法華経の教えを子孫に伝えることが私たちの使命。正しい日蓮聖人の教えを伝えていきましょう」と挨拶した。
分散会に先立ち、日蓮宗伝道推進委員会委員長の楠山泰道師(神奈川県大明寺住職)が「これからの社会を担う青年に必要な宗教の役割と意義―心を養う―」と題して基調講演を行った。
日本脱カルト協会理事長、家庭児童相談室連絡協議会会長などを務め現代社会のさまざまな問題に関わる楠山師は、「自殺」「ひきこもり」「カルト教団への入信」に共通する心理状態の一つとして“バーチャル(仮想体験・妄想)”を上げ、「現実との錯覚を認識させるのは宗教。正しい方向性を示し、正しい教えの中で癒された心を社会に引き戻してあげることで、バーチャルにおぼれることなく現実世界の中で生きながら喜びや苦しみを発見できる」と現代社会における宗教の必要性を語った。
また、社会に目的や居場所を見つけることができず喪失感や無力感を抱く若者が、孤独化・孤立化から自殺やひきこもりなどに入ってしまうことが多く「自分を知り居場所を見つけ、人との関係の中で自分を作るよう蘇生させ、癒し、安心を与え、人間らしさを取り返そうというのが宗教の教え。青年会を、苦しんでいる人が安らかな心で自分を取り戻し、そこから社会に再出発できる自己発見の場にして頂きたい。青年会が手を結び合って、教えの大切さを広めていって」と結んだ。
続いて分散会が、伝道推進委員の大西秀樹師(京都府松林院住職)、中山観能師(石川県宝泉寺住職)、西山文生師(岩手県智恩寺)を中心に三班に分かれて行われた。会同士でお会式の手伝いをしたり、商工会や隣町から盆踊りの依頼を受けるなど地域と密着した活動を広げる会がある一方で、高齢化が進む現状なども報告された。会員拡張については「はじめからお題目や教義を掲げるのではなく、参加できる環境と参加しやすい企画を」「まず楽しみを共有しなければ」など多くの助言が出された。会同士の情報交換が必要との声もあがり、ホームページ作成などインターネットを利用する方法が話し合われた。