日蓮宗新聞

2005年7月10日号

「危機管理―災害と寺院」宗務院で研修講座

日蓮宗ボランティアネットワークロータスでは、近年頻発する自然災害に対し寺院としてどのように対応できるのかを考えようと、「危機管理を考える─災害と寺院─非日常の世界でどんな救援ができますか」をテーマとした研修講座を、6月16日に日蓮宗宗務院で開催し、57人の僧侶が参加した。
今回の研修会は特定非営利活動法人・災害危機管理システムEarth(アース・石原顕正理事長)が主体となって行い、石原会長が過去の事例や豊富なデータを説明しながら進めた。
途中、グループ別の話し合いが行われ、地域で大規模災害が発生した時に、寺院の境内で起こりうる事、とるべき行動などについて意見が出され、ここ数年にあらゆる被災地でボランティア活動を行ってきたアースのスタッフがアドバイスした。
多かった意見として、「実際に被災したら安全確保が第一だから、地域の避難場所を知っておく」「被災者同士の連携を発揮するには、普段のコミュニケーションが大事」といったものがあった。
昼食では、アースが用意した非常食を全員で試食し、予想以上のしっかりした味に驚きの声も。
石原理事長は、「もし被災したら、僧侶として何かしなければという意識が働くと思うが、まずは自分たち家族と寺院の安全を確認したい。そうでないとその後の活動もできない」と述べ、被災地での活動については「現場に立ってみて、初めて自身の人間性や優しさといったものが見えてくるもの。非日常の世界で何ができるのかを、日頃から考えたい」と述べた。
また石原会長は、これからの防災と救援対策にはコーディネーターの養成が必要で、そのためには研修を増やし、宗門による支援の一元化が課題となるとしている。
参加者一同の関心は高く、災害への意識を新たにした有意義な研修となった。

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タイ南部津波被災地で全日仏、犠牲者追悼と復興記念法要

藤井日光日蓮宗管長(総本山身延山久遠寺法主猊下)が会長を務める全日本仏教会(以下、全日仏)は5月7日から10日まで、昨年12月に発生したアンダマン海津波で大きな打撃を受けたタイ南部の観光地プーケットとパンガー県カオラックを訪れ、犠牲者の追悼と復興を祈念する法要を行った。
インド洋大地震に伴ってタイ国に発生したアンダマン海津波。犠牲者は約5000人、安否が確認できない行方不明者は7000人に及び、その中には多くの日本人も含まれている。
今回の法要は、全日仏がタイ政府から「日本の仏教代表の方々に参加していただき、私どもと一緒に、想像を絶する災害で被害に遭われた方への祈りと、すべての人々のために鎮魂・希望・調和の法要をこの地で行いたい」と要請を受け、会長の宗派である日蓮宗に依頼したもの。日蓮宗は藤井会長名代の井上瑞雄身延山久遠寺総務を団長に、全日仏社会部部長の奈良慈徹師(台東区妙義教会担任)をはじめとする総勢23人でタイへ向かうことを決定した。
7日、成田空港で結団式を行い、全日仏の櫻井英幸総務部長(曹洞宗)から委嘱辞令伝達を受けた一団は、「全身全霊でこの任務を遂行いたします」とタイへ出発。
 一つ目の法要は8日、横なぐりの雨が降りしきるパンガー県カオラックで行われた。
パンガー県副知事をはじめ現地日本人会や地元住民約三十人が参列する中、井上団長を導師、齋藤邦昭久遠寺庶務部長、山田是明輪番本部長を副導師に読経し、井上団長が「たとえ一人でもその命が失われることは嘆かわしいことでありますのに、その数が数千にも及ぶとなることは想像にもできない惨事であり、深い悲しみを覚えずにはいられません(訳)」と追悼文を読み上げ、この法要を礎に、世界平和、人類の幸福に向かって祈り実践することを誓願した。
翌九日は、プーケットのパトンビーチで法要を行い、プーケット県副知事や現地日本人会に所属する地元住民らがともに手を合わせた。
法要終了後には、団員が玄題旗とうちわ太鼓を手に約30分にわたり唱題行脚を行い、大きな被害の爪跡が残る一帯に犠牲者を慰霊するお題目が響き渡った。
両法要では、全日仏と総本山身延山久遠寺それぞれから、義援金としてタイ政府、世界仏教徒会議(WFB)に各100万円、総額400万円が贈られた。

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2005年7月1日号

宗立谷中学寮35周年を祝う

立正大学で学び、僧侶の道を目指す宗門師弟が四年間の僧風生活を送る日蓮宗宗立学寮。宗立谷中学寮(東京都台東区・菅野龍清寮監)と宗立熊谷学寮(埼玉県熊谷市・小川泰功寮監)は、今年それぞれ35周年と25周年を迎え、6月15日に記念祝賀会が東京都内のホテルで開かれた。

当日は卒寮生・現役生など約200人が参集。祝賀会に先立ち、午後1時半から谷中学寮のある浄延院(菅野啓淳代務住職)で、初代谷中学寮寮監だった教中院日秀上人の第33回忌と、長年にわたって谷中学寮に奉職した深敬院日正居士の第23回忌、併せて宗立学寮卒寮物故者追悼の法要が中里観正教務部長を導師に厳修された。
午後4時から浅草ビューホテルで記念祝賀会。始めに栗原正震伝道局長が、「宗立谷中学寮は昭和46年に日蓮聖人ご聖誕750年慶讃事業の一環として建設され、卒寮生は宗門の要路で布教伝道に活躍しています。これから学寮の存在は、ますます意義深く重要になりますのでさらなる発展を期待します」と祝辞を述べた。
立正大学からは、渡邉一之理事長が「宗立熊谷学寮は昭和56年に日蓮聖人七百遠忌事業の一環として作られました。その背景には、仏教学部の若者に僧風教育を身につけてほしいという宗門の願いがあります。大学の様相は変化しておりますが、これからも宗門と手を携えて、学寮の体制を強化していきます」と挨拶した。
続いて熊谷学寮初代寮監の小野文珖師(群馬県天龍寺住職)、17年間にわたり熊谷学寮寮監を務めた浜島典彦師(東京都修性院住職)などが次々と壇上に上がり祝福を受けた。
祝宴も佳境に入った頃、参加者全員が肩を組んで立正大学学園歌と宗立学寮寮歌を斉唱。迫力の歌声が響き渡り、皆それぞれに喜びを分かち合った。
最後に、30年以上にわたり谷中学寮寮監を務めた菅野啓淳本山海長寺貫首が挨拶。菅野貫首は、「宗立学寮が現在の姿になるまでは、一つ一つが積み重ねでした。教育は人です。この伝統をこれからも守り通してほしいと思います。今日は新たな第一歩であり、宗門あるかぎり学寮があると信じています」と万感の思いを語った。
現在、宗門では立正大学仏教学部のキャンパス移転に伴う宗立学寮の再編が検討され、3月の第91定期宗会でも岩間湛正宗務総長から「日蓮宗宗立学寮建設検討特別委員会」設置の提議がなされた。宗門の法器育成機関としての学寮の役割が、今後ますます期待される。

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新年のご挨拶。

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