日蓮宗新聞
2011年11月10日号
日蓮宗加行所入行会 159師が苦修練行
平成23年度日蓮宗加行所(太田順道伝師)が11月1日、千葉県市川市大本山中山法華経寺(新井日湛貫首)に開設され、159師の加行僧による来年2月10日までの寒壱百日の修行が始まった。今回は白木でできた東日本大震災犠牲者の位牌が加行所に安置され、供養の祈りが捧げられる壱百日間ともなる。
檀信徒に見守られる中、始まりの鐘が鳴らされると、清浄衣に身を包んだ加行僧たちは緊張の面持ちから決意の表情へと顔を引き締めた。常修殿の中へ姿を消した30分後に営まれた入行会では、大音声の読経を祖師堂内に響かせる力強い修行僧たちの姿があった。
渡邊照敏宗務総長は挨拶で、伝道教団である宗門の一翼を担う修法師の活躍に期待し、加行所伝主でもある新井貫首が行堂清規を守り無事に成満できるように祈念。最後に太田伝師が「社会における地位、名誉、自由をこの場で預かります」と宣言すると、全加行僧が死身求法の覚悟で応えた。
加行僧たちが行列を組み、結界修行の境界である瑞門をくぐると、見送りの檀信徒たちは修行に向かう加行僧の名を大声で呼び続けた。修行は加行僧のみならず、留守を預かる寺族・檀信徒たちがいて初めて成り立つもの。加行僧たちはそれぞれの思いを背負いながら、わずかな睡眠と食事、1日7回の水行と読誦行の苦修錬行に励む。
2011年11月1日号
中央檀信徒研修道場 身延山で開催
檀信徒の信行の研修と信行推進者の養成を目的とした平成23年度第2回日蓮宗中央檀信徒研修道場が10月4日から6日まで、山梨県の身延山信徒研修道場で開催された。自らの信仰を深め、確固たるものにしようと32人の道場生が研鑽を積んだ。
4日正午に開会式が行われ、主任講師の山本光明師(北海道龍王寺住職)を導師に読経し、関谷泰教日蓮宗伝道局長・吉村明悦身延山布教部長が挨拶した。講師紹介の後、山本師が「台風により交通機関が影響する中、研修に参加されありがとうございます。身延山のお膝下でしっかり研修して下さい」述べた。研修生を代表して山梨県泉應寺檀徒が力強く宣誓し、道場生全員で道場清規を唱和した。
記念撮影が行われた後、内野日総法主猊下の御経頂戴を受けるため山々に響きわたる声で唱題しながら総本山身延山久遠寺本堂に向かった。初めて参加する男性は「とても緊張しています。何もかも分からないことばかりなので、ベテランの方に指導をいただきながら研修して、これからの信仰生活に生かしていきたいと思います」と抱負を語った。
初日は、主任講師による法華経講義、三大寺聡温講師によるご遺文講義などを聴講、夜は法座が行われた。2日目は朝勤の後、奥の院登詣、講義聴講、法座、唱題行、3日目にはこれらのほか書写行と、参加者は中身の濃い3日間を棲神の地・身延山で過ごした。
「お会式」の賑わい 池上本門寺に30万人
10月13日は日蓮聖人がご入滅されたご聖日。弘安5年(1282)9月8日、日蓮聖人は病を癒すため、常陸の湯をめざして身延山を出立され、武蔵野国池上にご逗留、旅の途中で10月13日にご入滅された。今から730年前のことである。爾来、全国の日蓮宗寺院・教会・結社では10月から11月にかけて日蓮聖人を偲ぶ「お会式」が営まれている。
ご入滅の地、東京・大本山池上本門寺(酒井日慈貫首)の12日のお逮夜には午後6時頃から深夜まで約30万人の参拝者がかけつけた。全国から集まった100講中約4千人による万灯練供養が行われ、纏を振る講中の熱気とお囃子、参拝者の歓声が池上の街を包んだ。
翌13日には、酒井貫首を導師に臨滅度時法要が営まれ、大堂内は全国からの参詣者で埋め尽くされた。日蓮聖人ご入滅時に日昭上人が打ち鳴らされたという故事にちなみ、ご入滅時刻の午前8時に酒井貫首が「臨滅度時の鐘」を鳴らすと、参詣者は深く頭を垂れ合掌。報恩感謝のお題目を唱えた。