日蓮宗新聞

2009年10月10日号

「日蓮聖人入滅図」公開

福山市妙法寺 ふるさとで一日お披露目

広島県福山市妙法寺(松本恵行住職)で9月23日、第25代住職通明院日澄上人の開板による「日蓮聖人入滅図」が公開された。
この入滅図はハーバード大学燕京図書館(米国ケンブリッジ市)の「ペツォールドコレクション」から発見され、現在も同図書館に所蔵されているもので、10月10日から京都国立博物館で行われる特別展「日蓮と法華の名宝」に出展されるため一時的に里帰りを果たした。今回の公開は、松本住職の働きかけにより、ふるさとで“一日だけのお披露目”となって叶えられた。
同図は享保16年(1731)、日蓮聖人450遠忌に本堂再建記念として開板された極彩色の涅槃図。中央に日蓮聖人が横臥し、その周りを囲む僧侶・信者の悲しむ様子が描かれている。
23日は、ひと目見ようという檀信徒や住民など約300人が同寺を訪れ、松本住職を導師に里帰り法要も営まれた。
松本住職は「昭和28年に空襲で山門以外の寺のすべてが焼失してしまったが、こうして焼失以前の寺ゆかりの品が帰ってきたことは感慨深い。原爆を落とした米国からこの入滅図が帰ってきたことで、平和への布石として心にとどめていただければ」と語っている。

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立正福祉会創立30周年記念祝賀会

社会福祉法人「立正福祉会」(三田村鳳治会長)の創立30周年記念祝賀会が9月14日、東京・大田区の朗峰会館で行われ、歴代関係者など約100人が参集した。
同会は、民間相談事業を主目的とする日本宗教界唯一の社会福祉法人で、昭和56年、日蓮聖人ご入滅第700遠忌ご正当の聖年に設立され、再来年に30周年を迎える。子どもの心理相談室や青少年心の相談室、相談員基礎講座などを開設し、現在は本部相談室が2つ、全国29管区に30の相談室がある。昨年3月、事務所を山梨県から日蓮宗宗務院内に移転したことを契機に、2年先取りしての祝賀会
開催となった。
記念式典では、三田村会長が「本部が宗務院に移転し、本日は立正福祉会再出発の時。これからも“子どもの健全な育成”という会設立の主旨を理解していただいて、発展を期したい」と挨拶した。
続いて祝辞。小松浄慎宗務総長は「同会は相談室の開設などで檀信徒の深い理解と参加を得ています。これからも宗門と異体同心にいのちの尊さを社会に広め、“皆帰妙法、仏国土顕現”の大道へ導いてほしい」と述べた。伊藤通明財団法人日蓮宗布教助成会理事長は「宗教法人や寺院の公益性が問われるようになりましたが、立正福祉会は宗門でもその先端をいくものです」と語った。
続いて東洋大学教授の武見敬三氏(前参議院議員)が「ハーバード大学から見た日本―世界のダイナミズムと日本の混迷」と題して記念講演。
「国際社会の躍動的な変化の中で、日本は政策概念として“人間の安全保障”を最重視しなければならない。“人間の安全保障”とは、人間の生存、生活、尊厳に対する取り組みを重視する考え方。これは、わが国が21世紀も引き続き平和国家として責任ある役割を担うために極めて重要といえる。“人間の安全保障”を通じて日本が国際社会で着実に影響力を高め、外交的・道義的な力を蓄積していけば、軍事力を増す近隣諸国と友好関係を築くことができる。それには現在の民主党とは違う“真の安定勢力”が国論を統一し、国の立て直しを図っていかなければならない。外国から2年間見てきたが、日本は今まさに立ち直ることができるかどうかの正念場にある。そのためにも、お寺を中心としたコミュニティーがより力強い活力を持って、社会の大きな柱となり国民を導いてほしい」と語った。
その後、場所を移して記念祝賀会が行われ、数多くの歴代関係者が祝辞を贈った

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2009年10月1日号

池上本門寺酒井貫首が映画出演

「eatrip」世界映画祭に出品

「いただきまーす!」最近おいしくご飯を食べていますか?
そんな素朴な質問を投げかけてくれる映画「eatrip」(製作・配給スタイルジャム)が公開される。6月に先行プレミア上映で話題となり「第33回モントリオール世界映画祭」「第28回バンクーバー国際映画祭」に出品されたこの映画に大本山池上本門寺(東京都大田区)の酒井日慈貫首が出演している。出演者は他に女性歌手のUAさん、武者小路千家・15代家元後嗣の千宗屋さん、俳優の浅野忠信さん、その他の個性ある面々が揃う。インタビューや食の場面を綴ったドキュメンタリー映画に仕上げられ、フードクリエイティブ・チーム「eatrip」の主宰者野村由里氏が初監督した。
「食べる」という行為を通して「生きる」ことを映像で表現しようと試み、各方面で活躍する人たちに「食」との向き合い方をインタビューしながら生きることの原点を探っていくのがこの映画の見どころだ。
酒井貫首は映画の中で「“いきいき生きる”から幸せ。何でもおいしく食べることだよ。食で一番大切なことは健康。健康だから食べ物が自然と美味しい。食べるのが美味しいから健康になるっていうね、それが大切ですよ。食べ物は、全て五感で感じる。だから目、匂い、もちろん舌ね、口、耳、それから触る。生きている人間なら五感全てを使っている。だからこんな楽しいことはないし、こんなすばらしいことはない」と語る。
主人公も台本もないこの映画の中で出演者はそれぞれに食と人との関係、つまりいのちとのつながりを探求しながら本音で語っている。あたりまえの日常の光景が輝いて見えてくる。そんな印象の映画だ。
10月10日からの恵比寿ガーデンシネマを封切りに、全国で順次公開される予定。

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