日蓮宗新聞

2009年9月1日号

第55回 日蓮宗保育研修身延山大会

第55回日蓮宗保育研修身延山大会が7月25、26日に総本山身延山久遠寺(内野日総法主)と下部温泉で開催され、全国から240人の保育関係者が参加した。
今回の研修テーマは「伝えよう みほとけの心を園から家庭に」、サブテーマは「文化と自然を子どもたちの未来に」。
開会式では奥邨正寛日蓮宗保育連盟理事長が「日蓮聖人の報恩の思想を根底に置いた保育を目指し、各園情報交換をしてほしい」と挨拶。小松浄慎宗務総長は、昨今の犯罪の低年齢化・凶悪化を例に挙げ、「仏の慈悲で幼児教育にあたることによって、人として成長するための種子を植えつけることができる」と祝辞を贈った。身延山久遠寺総務で身延山大学理事長の井上瑞雄師は、「三つ子の魂百まで」を引用して幼児教育の重要性を説き、「保育者は大きな責任と義務を課せられている」と激励した。最後に宮川了篤身延山大学学長が「身延山大学には仏教福祉学科があり、幼児教育も教えています。学生にとっても、この大会の一分を担うことがとてもいい勉強になります」と歓迎の意を表した。
永年勤続者の表彰の後、法主猊下から御経頂戴が行われた。法主猊下は挨拶で「宗門教育で一番大事なのが幼児教育。教育は30年で成果が現れ、50年で成立するといわれています。少子化の時代、なおさらその重要性が認識されるべきです」と述べた。
記念撮影の後、場所を身延山大学講堂に移し、望月真澄身延山大学教授が「身延山の歴史と信仰」と題して講演。一般の人向けに、身延山を紹介した。
バスで下部ホテルに移動、懇親会が行われた。
川名義顕伝道局長は祝辞で「まず自分たちが健全な心と信仰をもって、心を清らかにして子どもたちと接することが第一」と説いた。
和太鼓や雅楽、今年の卒業生で海外にも活動を広げている佐治麻希さんの紙芝居「さだ子と千羽鶴」、一ヵ月以上前から準備した仏教福祉学科生全員による手話ソングなど、数多くの演目が披露された。身延山大学の力の入れようが見て取れた。
2日目。朝勤の後、山田英美身延山大学教授が「子どもと自然体験」について概説。若杉純子身延山大学非常勤講師が「幼児期の自然体験の実践」と題して研修講演を行い、最後はグループディスカッション。保育に自然体験をどのように取り入れるか、その問題点などについて話しあった。
同時刻に行われた総会では、日蓮宗保育連盟理事長の任期満了にともない、新理事長に濱田文護師(埼玉県常住寺住職)が選任された。濱田新理事長は閉会式の挨拶で「来年に向けて保育連盟をもうひとまわり大きく発展させていきたい」と抱負を述べた。

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最上稲荷教が日蓮宗所属に

最上稲荷教(稲荷日應管長)の日蓮宗所属辞令交付式が7月24日、東京・大田区の日蓮宗宗務院で行われた。
最上稲荷教は、岡山県妙教寺(貫首=稲荷管長)を総本山とする教団で、日本三大稲荷の一つ。昭和29年7月24日に先々代の稲荷日宣師のもと日蓮宗から独立したが、僧侶の高齢化による後継者不足や修行・育成問題など考慮し、再び日蓮宗に所属することとなった。
これにより、最上稲荷教に所属していた20の被包括法人・231人の僧侶のうち、8法人・58人の僧侶が日蓮宗に所属することになった。最上稲荷教は今後、解散を迎える予定。残りの法人は単立となり、法類的組織をつくる。
小松浄慎宗務総長は挨拶で、「『立正安国論』奏進750年という節目の年に、われわれ日蓮宗は大きな力を賜りました。われわれは、所属した法人が包括法人日蓮宗になにができるのか、ではなく、逆に包括法人日蓮宗が、所属している各法人に何ができるのか、という部分を考えていかなければいけない。日蓮宗でよかったと思っていただけるような包括法人でなければならない。大いにお題目を唱え、手を取り合って、教団拡張を目指し、世界に向けてお題目を発信していきましょう」と語った。
法人審議会の本間皓司委員長、褒賞審議会の富山慈峰委員長、濱田壽教中四国教区長の祝辞の後、稲荷管長が挨拶した。
「半世紀を経て振り返ってみると、教団としての使命は既に果たし終えた、というのが実感です。そもそも妙教寺は、池上本門寺16世・日樹上人の高弟・日円上人が再興されたもの。日蓮大聖人を祖師として法華経を読誦し、誠を捧げてまいりました。その400百有余年を考えますと、日蓮聖人の教法を仰ぎ奉ることに、なんら異同を覚えるものではございません。“一天四海皆帰妙法”のもと、次代を担う人材育成のために、また地域社会貢献の積極的展開のために、転宗の決議をいたしました。今後は立正安国の顕現を目指し、大聖人の教法を体得し、その広宣流布に異体同心で邁進する覚悟です」と抱負を述べた。
その後、質疑応答の場が設けられ、稲荷管長が応じた。
「果たし終えた使命」とは何か、との質問に対しては、「社会貢献」と答えた。今の体制では社会貢献にも限界があり、その限界を超えるために日蓮宗所属という手段をとった、とした。
また、最上稲荷教が独自にもつ加行所の位置付けについては、「日蓮宗の公認を求めるつもりはない」とした。
昭和29年の離脱時、日蓮宗の宗務総長は小松総長の師父・小松浄祐師だった。今回の帰属時にまた小松総長とあって、日蓮宗と最上稲荷教は深い縁があったようだ。

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立正安国の精神、全世界に

戦没者追膳供養並世界立正平和祈願法要

64回目の終戦記念日を迎えた8月15日、日蓮宗は小松浄慎宗務総長を導師に「戦没者追善供養並世界立正平和祈願法要」を、東京・千代田区にある千鳥ヶ淵戦没者墓苑で営んだ。この法要は昭和34年に同墓苑が創建されて以来毎年、日蓮宗が行なっている法要で、今年が51回目。この日も猛暑のなか、僧侶檀信徒のほか一般の参列者約350人が合掌して戦没者への慰霊と平和への祈りを捧げた。

戦没者の遺骨が納められている六角堂内に大曼荼羅ご本尊を奉安し、午前9時に導師、式衆が入堂した。ひときわ目を引くご宝前に奉納された折り鶴は、東京西部、東京南部、愛媛の各宗務所のほか全国各地の寺院等から寄せられたもので、一万羽以上が集まった。
今年は、大導師を小松浄慎日蓮宗宗務総長、副導師を東京四管区宗務所の鈴木良敬所長(東部)、矢嶋泰淳所長(西部)、石井隆康所長(南部)、望月兼雄所長(北部)が務めた。修法導師は罍慈鴻東京南部修法師会長が務め、式衆に東京四管区の声明師会、修法師会、行脚隊に青年会の各会員が出仕。六角堂の中央に安置された陶棺に向かい声明、読経、修法を行い、表白文で戦没者諸精霊に追悼の意を表すとともに、世界平和を祈念した。
参列者全員による焼香では、それぞれが尊い命を犠牲にした戦没者の冥福を祈るとともに、二度と戦争が起こらぬよう祈りを込めて合掌した。
その後、(財)千鳥ヶ淵戦没者墓苑奉仕会の馬野猛彦理事長が挨拶に立ち、同墓苑の創建以来続く日蓮宗による法要に対し謝辞を述べるとともに、遺骨収集の現状について語った。
最後に川名義顕日蓮宗伝道局長が小松総長の挨拶文を代読。「いのちに合掌」をスローガンとして安穏な世界の顕現を目指し、宗祖の示した立正安国の精神を世界に広げるべく「立正安国・お題目結縁運動」を展開中であることを報告。参列者祈りと願いが亡き人々を安らかにし、今を生き未来に生きる人々の平安の実現を念じた。
千鳥ヶ淵戦没者墓苑に納められている遺骨は、軍人、軍属のみならず海外で犠牲となった一般邦人も含まれている。遺族に引き渡すことのできなかったもので、今年も新たに1406柱の遺骨が同墓苑に納められ、安置されている遺骨は総数35万4332柱となった。
法要後には東京四宗務所の僧侶ら約100人が唱題行脚を行った。うちわ太鼓を手に墓苑近くの東郷公園を出発。管区ごとのコースで戦没者への慰霊と平和を祈るお題目を轟かせた。

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新年のご挨拶。

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