2009年9月1日号
立正安国の精神、全世界に
戦没者追膳供養並世界立正平和祈願法要
64回目の終戦記念日を迎えた8月15日、日蓮宗は小松浄慎宗務総長を導師に「戦没者追善供養並世界立正平和祈願法要」を、東京・千代田区にある千鳥ヶ淵戦没者墓苑で営んだ。この法要は昭和34年に同墓苑が創建されて以来毎年、日蓮宗が行なっている法要で、今年が51回目。この日も猛暑のなか、僧侶檀信徒のほか一般の参列者約350人が合掌して戦没者への慰霊と平和への祈りを捧げた。
戦没者の遺骨が納められている六角堂内に大曼荼羅ご本尊を奉安し、午前9時に導師、式衆が入堂した。ひときわ目を引くご宝前に奉納された折り鶴は、東京西部、東京南部、愛媛の各宗務所のほか全国各地の寺院等から寄せられたもので、一万羽以上が集まった。
今年は、大導師を小松浄慎日蓮宗宗務総長、副導師を東京四管区宗務所の鈴木良敬所長(東部)、矢嶋泰淳所長(西部)、石井隆康所長(南部)、望月兼雄所長(北部)が務めた。修法導師は罍慈鴻東京南部修法師会長が務め、式衆に東京四管区の声明師会、修法師会、行脚隊に青年会の各会員が出仕。六角堂の中央に安置された陶棺に向かい声明、読経、修法を行い、表白文で戦没者諸精霊に追悼の意を表すとともに、世界平和を祈念した。
参列者全員による焼香では、それぞれが尊い命を犠牲にした戦没者の冥福を祈るとともに、二度と戦争が起こらぬよう祈りを込めて合掌した。
その後、(財)千鳥ヶ淵戦没者墓苑奉仕会の馬野猛彦理事長が挨拶に立ち、同墓苑の創建以来続く日蓮宗による法要に対し謝辞を述べるとともに、遺骨収集の現状について語った。
最後に川名義顕日蓮宗伝道局長が小松総長の挨拶文を代読。「いのちに合掌」をスローガンとして安穏な世界の顕現を目指し、宗祖の示した立正安国の精神を世界に広げるべく「立正安国・お題目結縁運動」を展開中であることを報告。参列者祈りと願いが亡き人々を安らかにし、今を生き未来に生きる人々の平安の実現を念じた。
千鳥ヶ淵戦没者墓苑に納められている遺骨は、軍人、軍属のみならず海外で犠牲となった一般邦人も含まれている。遺族に引き渡すことのできなかったもので、今年も新たに1406柱の遺骨が同墓苑に納められ、安置されている遺骨は総数35万4332柱となった。
法要後には東京四宗務所の僧侶ら約100人が唱題行脚を行った。うちわ太鼓を手に墓苑近くの東郷公園を出発。管区ごとのコースで戦没者への慰霊と平和を祈るお題目を轟かせた。