日蓮宗新聞

2004年10月1日号

「香満ちました」

香元の一声で香席は閉筵。良い香りが香席を包み込み、席入りされた一人ひとりお心の中に“仏の使い”の香が満ちました。
秋晴れの9月10日、日蓮宗新聞社(長亮行社長)主催、大本山池上本門寺(酒井日慈貫首)後援の「聞香安居の集い」が開かれ、全国から約30人の方がお見えになりました。香筵は身延山久遠寺の檀越・南部(波木井)実長公とも縁の深い、御家流第23代宗家の三條西堯水師を講師に迎えて開かれました。
当日は種々ある、組香の中から中古三十六歌仙の僧・能因法師の名歌に由来する「白河香」が選ばれました。

都おば
霞とともにいでしかど
秋風ぞ吹く白河の関

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開創90周年の慶讃大法要 日蓮宗米国別院(ロサンゼルス)

日蓮宗米国別院(アメリカ・ロサンゼルス=金井勝海主任)は今年で開創90年を迎え、8月29日に慶讃大法要が営まれた。この日はアメリカ各地のみならず、カナダ・イギリスからも開教師と信徒が参集して共に慶事を喜び合い、日本からは岩間湛正宗務総長をはじめ多くの関係者らが来訪し、永年の歴史と法功に対し、感謝と祝意を表した。

仏教の慈悲の教えこそ人類に平和の砦築く
岩間宗務総長メッセージ

 法要に先立ち、28日の晩には、市内クワイット・キャノンで記念晩餐会が開かれ、開教師・信徒ら約150人が出席した。別院理事長のダン・ギロー氏による歓迎の挨拶に始まり、開教師の経験を持つ中條令紹宗務院総務局長が「久し振りにこの地を訪れることができ光栄に存じます、金井先生、ご信者の皆さま方のご尽力に心から感謝申し上げる次第です」と乾杯の音頭を取った。
全米各地から集まった信仰を同じにする人々同士が語らう中、岩間宗務総長による祝辞。岩間総長は現代と宗教について言及し、「20世紀は世界中を巻き込んだ戦争により、膨大な生命が失われた時代でしたが、21世紀を迎えた今もなお、アフガニスタン・イラクなどで多くの犠牲が出ており、解決の道筋が見えません。仏教の慈悲の教えこそが、人類の心に平和の砦を築き、幸福をもたらすものです」とメッセージを発した。

 続いて大本山池上本門寺の早水日秀執事長、羅府仏教連合会会長の宮田諦詮師、北米日蓮仏教団開教区長の五十嵐顕城師(サクラメント日蓮仏教会主任)がそれぞれ祝辞を述べた。
最後に金井主任から、90年の歴史の中で特に功労の大きな10人(家族)に対して表彰が行われた。表彰者は、今年新築された多目的ホール=練尾会館の建設に尽力した練尾幸一さん・登代さん夫妻、四世代にわたって別院護持に努めた遠藤リリー一家、信徒青年会を設立し、初期のサンデースクール校長を務めた西原菊男さん、90歳を迎えた今も熱心に活動している山田常子さんと本田種子さんなど。
参加者それぞれが90年の歳月を噛みしめ、共に布教活動を支えてきた仲間を讃え合い、夜は更けていった。
翌日29日、晴れ渡ったカリフォルニアの青空の下で、日蓮宗米国別院創立90周年慶讃並びに第25回北米日蓮仏教団大会大法要が厳修された。

 法要に先立ち、アメリカ各地の開教師と信徒たちが、新築されたばかりの練尾会館で第25回目の記念大会を行った。大会では、北米日蓮仏教団の次期開教区長に金井米国別院主任が就任することへの承認がなされ、長きにわたり教区長を務めた五十嵐師に暖かい拍手が贈られた。
午前11時から法要が行われ、岩間宗務総長を大導師に、副導師は早水日秀師・五十嵐顕城師・松田龍紹師(北米日蓮仏教団前開教区長・サンノゼ妙覚寺別院主任)・金井主任の四師、式衆はアメリカ各地の開教師が務めた。
法要の中では、英文による自我偈の拝読、別院信徒による和讃奉唱が行われた。特に和讃は、信徒有志が三年前に青森県鰺ヶ沢町の永昌寺を訪れ、住職の田端義宏宗務院伝道部長から直接指導を受けたもので、別院で練習を重ね、この日がお披露目となった。当日、法要に参列し、和讃の様子をじっと見守っていた田端部長は「すばらしい出来です。和讃の伝統が海を渡り、外国の方にも伝えられたことに感謝します」と語った。
最後に岩間宗務総長による御経頂戴の儀が執り行われ、さまざまな人種からなる参列者が皆一同にお題目をお唱えし、心一つに法要を締めくくった。

19世紀後半に移住 日蓮宗・米開教の歴史

米国別院の90年は、同時に日蓮宗のアメリカ開教の歴史でもある。日本人のアメリカ移住は十九世紀後半に始まるが、1888年(明治21年)にロサンゼルスに住んでいた日本人の数は70人という記録がある。当時の日本人移民は鉱山、鉄道敷設、道路建設、農場の労働者といった過酷な労働に従事していた場合が多く、日本人留学生もサンフランシスコ、シアトル、ポートランドなどで仕事をしながら英語を学び、学校へ通う苦学生が大半であったという。
こういった苦しい生活の中で、心の支えとなる信仰は祖国を離れた人々にとって特に重要で、人々は国元で信奉してきた宗派の教えと布教者の到来を熱望していたに違いない。大正の初め、ロサンゼルスには日蓮聖人を讃仰する「日蓮研究会」「白蓮会」があったというが、本格的な寺院・布教所はなかった。
1914年(大正3年)、旭寛成上人がロサンゼルスに既に存在した浄土真宗別院と真言宗高野山別院を視察。その時、現地の日蓮宗信徒が旭上人を訪ね、「カリフォルニア州には10万人の同胞がいるが日蓮宗教会が一つもない」と嘆き、これをきっかけとして市内東二街に「北米羅府日蓮宗教会」として創立されたのが、日蓮宗米国別院の始まりである。(※羅府とは日本語でロサンゼルスのこと)
昭和16年の第二次世界大戦勃発ではアメリカ西部沿岸の日本人および日系人は強制キャンプに収容され、別院も閉鎖を余儀なくされるという苦難の時期もあったが、終戦後、布教は再開され、昭和45年には250人がお参りできる鉄筋の新本堂が建立落成。多くの開教師やそれを支えた信徒たちの努力によって法脈は現在に続いている。

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新年のご挨拶。

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