日蓮宗新聞

2008年12月10日号

宗門先師追悼法要

布教に心血を注ぎ、宗門の発展に尽力して遷化した僧侶に回向を捧げる「宗門先師追悼法要」が11月20日、東京都大田区の大本山池上本門寺(酒井日慈貫首=日蓮宗管長)の本殿で厳かに営まれた。

129師追悼回向
第38回を迎える今年、回向がなされた先師は、昨年10月1日から今年9月30日までに宗務院に届け出のあった129師。全国から遺族や遺弟、関係者約百人が参列した。
法要は酒井管長猊下を大導師に、田中文教宗会議長、井出存祐第二部審査会長の副導師で営まれ、小松浄慎宗務総長をはじめ宗務役員、全国の宗務所長を代表して石井隆康京浜教区長が参席した。
式中、小松宗務総長が追悼文を読み上げ、「常に妙法五字七字を広宣流布すること怠らず、寺にありては堂宇の護持復興、丹精に心を砕き給う。時あらば檀信徒に清浄の功徳を以て教化示導し、或は地域に於いては社会の浄化にたずさわり、慈愛徳風を広く世間に及ぼすものなり」と、智慧の光明で現世の闇を照らし深い慈悲で万人の規範となった先師の法功を讃えた。また、日蓮聖人のご遺文『報恩抄』の一節“花は根にかへり、真味は土にとどまる”を用いて、咲いた花は元の根にかえり果実の真味は土にとどまるように、遷化された先師の功徳はひとえにその身に集まるでしょうと結び、哀悼の言葉を贈った。
続いて読経の中、参列者が焼香の列をなし、回向では先師一人ひとりの遷化月日と法号が読み上げられると、遺族は深々と頭を下げ手を合わせていた。

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2008年12月1日号

国宝『観心本尊抄』はじめ 数十点のご遺文を一般公開

千葉県市川市の大本山中山法華経寺(新井日湛貫首)の聖教殿で11月3日、恒例の「お風入れ」が行われ、国宝『観心本尊抄』をはじめ、数十点のご遺文が一般公開された。
法華経寺はもともと、日蓮聖人の大檀越・富木常忍(日常上人)が、聖人ご入滅ののち出家して建立した寺院。日常上人はご遺文の蒐集に尽力し、臨終には目録を作成してその恪護を後代に厳命した。以来700余年、ご遺文の恪護を旨としてきた法華経寺には、現存する真蹟遺文の大部分が所蔵されている。
そのご遺文を所蔵している聖教殿は、毎年文化の日にだけ開扉され、お風入れとご真蹟の確認が行われている。天候や湿度によっては開扉されない年もあり、ご真蹟を身近に拝すことのできる貴重な機会となっている。
午前11時の開扉を待つ人々が列をなす中、新井貫首を導師に開扉の法要が営まれ、奉展が行われた。閉扉の午後1時までに500人を超す人が、寺尾英智身延山大学
教授や安中尚史立正大学教授の説明を受けながら拝観した。
中尾堯立正大学名誉教授は「例年『観心本尊抄』は冒頭か章末を広げていますが、今年は最も肝要な教えである45字法体の部分を初めて展観しました」と解説。
渡邉宝陽勧学院長は45字法体について「この世は苦しい世界だけれども、この世にこそお釈迦さまがいらっしゃる、この世こそが本時の娑婆世界、という教えです
」と説いた。
拝観を終えた人は「700年以上前に日蓮聖人が書かれた文字を間近に拝して、不思議に思うと同時に感激しました」と涙を浮かべて話していた。またこの日のため
に福井県越前市から団参に来たという檀徒は「ただただ、もったいなかったです」と感激の面持ちで話してくれた。
◇   ◇

◆聖教殿建立の背景
「聖教殿」の生みの親は、東京帝国大学法学部長などを歴任した国際法学者・山田三良博士(1869―1965)である。その妻・繁子夫人は日蓮聖人のご教化を直々
に受けた静岡県伊豆の代官・韮山の江川家の出身で、先祖から脈々と受け継がれてきた篤い信仰心で夫を感化。やがて山田博士は熱心な法華信者となり、大正3年、
矢野茂大審院検事、小林一郎中央大学教授と共に在家主導の法華信仰グループ「法華会」を設立し、在家指導者となった。
隔てて大正11年、法華経寺からご遺文が紛失する事件が起こった。ご遺文は半年後に発見されたが、清水龍山先生指導のもと、山田博士はご遺文格護のための「
聖教殿」造営を発願した。法華会と日蓮宗、法華経寺の三者合意のため力を尽くして聖教護持財団を創設し、理事長となって自ら資金集めに東奔西走。大正12年の
発願から足かけ3年を経て同15年に着工、6年の歳月をかけ、昭和6年5月に落慶竣工式を迎えた。以後、聖教護持財団がご遺文の格護や聖教殿の維持にあたっている

渡邉勧学院長は「日蓮宗の宗教性は、紙墨を根幹として高められてきた一面を持ちます。お曼荼羅やご遺文などによって支えられてきたのが日蓮宗なのです。こ
の聖教殿の総工費24万円余りのうち20万円余りを寄進したのが山田博士ら、信仰篤き在家信者の方々でした。その浄行を思い起こし、宗門にとって、私たち門下に
とって一番大切なものをどう護持していくか――、いま奮い立たなければなりません」と熱く語った。

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身延山久遠寺 五十塔竣工式

130年ぶり宗祖棲神の地に雄姿
5月には盛大な落慶式

山梨県身延町の総本山身延山久遠寺(内野日総法主)で、お題目発信のシンボルとして約130年ぶりに復元建立が進められてきた五重塔の外観が完成し、11月5日、竣工式が営まれた。
平成16年4月、久遠寺第91世妙道院日光上人が五重塔建立を発願してから4年半。同年、身延山五重塔建立奉賛会が立ち上がり、2年の準備期間を経て同18年3月、修法師約100人による読経と修法で地鎮式が厳修され、建立に着手。そして翌19年7月、五重塔の中心に据える心柱の奉曳式が営まれた。更に今年3月には修法師120人が出仕して上棟式を盛大に奉行。建設は順調に進み、このたびの竣工を迎えた。
◇   ◇
竣工式は秋晴れのもと、井上瑞雄身延山総務を導師に、山内役員が出仕して営まれた。杉浦則雄身延山法務部長を修法導師に力強い加持祈祷が修されると、工事関係者をはじめ、岡山県や大分県から団参で登詣した檀信徒など約500人の参列者は、合掌しながら見守った。

 井上総務は挨拶で「五重塔の真下で竣工式を奉行しながら、大変感激いたしました。まさにこれも偏に皆様のお蔭、これに勝るものがないという気持ちでございます」と語り、来年5月に執り行われる落慶式について「元和の塔を復元した五重塔が、全世界に向けてお題目発信基地のシンボルになるということを、全山一丸となって全世界へ向けて広める機会だと思っております」と参列を呼びかけ、更に工事関係者が誠心誠意、仕事に取り組んだことに深謝した。
五重塔前から望む思親閣上空は式中、身延山の前途を祝福するように終始晴れ渡っていた。
現在は内装の最終仕上げが進められている五重塔。来年2月26日にはご本尊を安置する遷座式が営まれ、付帯工事として進められている西谷駐車場から本堂脇までを結ぶ斜行エレベーター工事も順調に進み、来年3月には利用可能となる。
これで、いよいよ落慶式が5月13日から17日、5日間にわたり盛大に厳修される。

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新年のご挨拶。

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