日蓮宗新聞

2005年4月1日号

平成16年度 立正大学「卒業証書授与式」

立正大学(髙村弘毅学長)の平成16年度「卒業証書授与式」が3月23日、埼玉県大宮ソニックシティで行われた。ことし大学を巣立った卒業生は2290人(うち仏教学部116人)。式場は、スーツや袴姿の学生で華やいだ。式では髙村学長が8学部の各代表者に卒業証書を授与した。

夢に向かって
働きながら仏教を学ぶ
管長賞受賞の水沼博之さん

式後、仏教学部は立正大学大崎校舎・石橋湛山記念講堂に場所を移し、渡邉一之学園理事長を導師に仏前での「卒業奉告式」を行った。読経・唱題に続き、成績優秀者への授賞式。管長賞に水沼博之さん(宗学科)、法主賞に那須孝允さん(宗学科)、総長賞に阿部慎一郎さん(宗学科)、同窓会長賞に保高康子さん(仏教学科)が選ばれた。
学園総裁・藤井日光日蓮宗管長名代の岩間湛正宗務総長は「現今の社会情勢は混迷の一途を歩み、私共一人ひとりの苦しみと不安が募り、解決の糸口を見いだせない時代となっております。日蓮聖人は、鎌倉時代の混乱した社会の中で幾多の迫害を乗り越え、そのご生涯を法華経の宣布に捧げられました。今まさに、世界が渇望していることはこの立正の精神でありましょう。この混乱した現代社会に、日蓮聖人の立正精神を継承し、本学で培われた社会に貢献する先駆者としての技術をいかんなく発揮し、大いに活躍されることを祈念します」と祝辞を述べた。
管長賞を受賞した水沼さんは、他大学を卒業後就職したが、仏教学を学ぶという夢をあきらめきれず、三年生から編入。働きながら学んだ二年間を振り返り、「あっという間の学生生活でしたが、楽しく学ぶことができました。仕事もしているので、少しづつ頑張り、いつかは僧侶の道に進みたいです」と話していた。

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第26回全国宗教者東京大会

藤井日光日蓮宗管長が最高顧問を務める世界連邦日本宗教委員会主催の「第26回全国宗教者東京大会」が、3月9日・10日の2日間、東京大田区の大本山池上本門寺(酒井日慈貫首)を会場に開催され、日本国内の宗教者約300人が参加した。
今大会の総合テーマは「人類に平和を─日本宗教者の祈りと使命─」。9日には世界平和祈願万国万霊法要が本門寺本殿で営まれ、各宗派の代表が「祈りの言葉」を共に奉唱した。
翌10日は講演とパネルディスカッションが行われた。講演は、広島修道大学教授の城忠彰氏が「世界連邦のロードマップをどう描くか」と題して、現在の国際情勢と世界連邦創設に向けた道筋を提示。
城氏は、自国の利益だけを守る安全保障ではなく、EU(欧州連合)のような地域共同体の世界版が世界連邦のモデルだとし、「国境とは本来、人間が引いた線にすぎず、人の手でより良い形に戻すことはできる。特に宗教はその役割を担えるはずだ」と述べた。
続くパネルディスカッションでは、6人の各宗教の代表者が「世界平和への道筋」について意見を述べ合った。
日蓮宗からは、石井英雄師(日蓮宗国際開教対策委員長・東京長照寺住職)が登壇。石井師は宗教者同士の国際平和活動について、対話を大切にしながら、できることからひとつづつ進めていきたいと述べた。
討論のまとめとして、神道の薗田稔氏(京都大学名誉教授・秩父神社宮司)から「宗教の立場から命の捉え方を見直し、命の尊厳を訴えていくべきで、そのためにはお互いを知ることが第一」という提示がなされた。
最後に大会長の酒井本門寺貫首が「各宗の代表をお迎えできて光栄です。平和な家庭づくりからはじめて、平和な国と世界を築いていきましょう」と述べ、2日間の大会を終了した。
【世界連邦日本宗教委員会】
各国が世界連邦政府というひとつの秩序の下で、平和と人権を守っていくことを目指す世界連邦運動(1947年発足。本部ニューヨーク)に呼応し、昭和42年に日本国内の超宗派の組織として創立された。
第1回の全国宗教者大会は昭和44年に身延山で開催され、当時の藤井日静法主(身延山第86世)が「宗教者が宗教の垣根をこえて結集し、人類が生きるための大道を開かねばならない」とする『身延宣言』を全世界に向けて発信した。
現在、国内各地で「世界連邦平和促進宗教者大会」を開催すると共に、国際交流に尽力している。

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福岡県西方沖地震 寺院にも被害続出

3月20日午前10時53分ころ発生した福岡県西方沖地震では、玄界島を中心に甚大な被害をもたらし、多くの避難者を出した。余震も26日現在で221回を数え、まだまだ予断を許さない状況が続いている。
昨年10月の新潟県中越地震に続く「警戒の空白域」での大地震発生は住民に大きな衝撃を与え、災害への意識を改めて痛感させる事態となった。
被害の大きかった福岡・佐賀両県には多くの日蓮宗寺院があり、お彼岸のお墓参りに訪れていた檀信徒は「本堂がメキメキと恐ろしい音を立てた」と地震の大きさを目の当たりにしている。
福岡宗務所(渡邉正順所長)と佐賀宗務所(小寺大誠所長)では現在、管内寺院の詳細な被害状況を調査しており、日蓮宗宗務院(岩間湛正宗務総長)からは、21日に垣本孝精総務部長が現地を訪れ、今後の支援策を検討している。

宗務院、現地へ急派 支援策を検討

 福岡県内で震度六弱を観測した福岡市と前原市に、日蓮宗寺院は教会・結社を合わせて24ヵ寺。本堂や庫裏など建物の倒壊はなかったが、壁・塀・墓石・屋根瓦の倒壊や崩落、また位牌や仏具が散乱するなど被害が発生した。
20日はお彼岸の中日で、彼岸法要を営んでいた寺院やお墓参りに訪れていた檀信徒の姿も多かったが、大きなけが人は出ていない模様。なお、全島避難が指示された玄界島に日蓮宗寺院はない。
福岡県宗務所のある福岡市東区宗玖寺(渡邉所長自坊)では、裏手にある煉瓦の塀が5、60mにわたって崩壊、お墓も五、六基崩壊した。修復を終えたばかりの本堂の内壁にはひび割れが入り一部崩落。柱の歪みも目立っている。
ブロック塀の下敷きになり女性が死亡した博多区吉塚の吉塚駅そばにある東公園内の日蓮聖人銅像護持教会(佐野前暁主管)では、銅像台座の石欄干一枚が崩落し、元寇資料館の展示物が散乱した。75トンの聖人銅像に被害はなかった。
中央区唐人町妙安寺(門田正英住職)では本堂内の白壁に亀裂が入り、一部が崩落した。彼岸法要のために設置した祭壇のお供えや位牌、仏具が落下、位牌堂は足の踏み場もないほど散乱した。境内では墓石、灯篭、法名塔が2、30基崩落したが、お墓参りの檀信徒にけがはなかった。
同区香正寺(水上昭住職)が強い揺れに見舞われたのは、お彼岸法要の最中だったが、水上住職は最後までお経を続けた。本堂入口の大きな銅製の奉納額が落下したが、お経を続けたため参列者が入口に殺到することはなく無事だった。徹夜で納骨堂などを片付け、三分の二が崩壊した墓石も復旧作業を進めている。
早良区徳栄寺(永江尚幸住職)では地震発生時、和明副住職がお経廻りをしていた。バイクで檀徒宅に向かう途中、信号で停止している時に強い揺れを感じ、電柱は左右に揺れ、普段穏やかな川面が波打っていたという。何とかたどり着いた檀徒宅では、仏壇が倒れ、位牌や過去帳が散乱していた。
徳栄寺檀徒の一人は、お墓参りの帰りの車中で揺れを感じた。自宅は、仏壇や食器棚、タンスが倒れ、ガラスの破片が飛び散って靴を履いたままでなければ歩けない惨状だったという。徳栄寺本堂は被災を免れたが、庫裡は土壁と柱の境目などに亀裂が生じた。
糟屋郡妙覚寺(野出祐慎住職)では本堂屋根瓦全体が破損し棟瓦が崩落。屋根にシートがかけられないため、内陣の仏像仏具にシートをかけて雨漏りから守っている。本堂から落ちた瓦で、水子観音堂の屋根も破損した。

揺れがおさまるまで肩寄せ合いお題目
佐賀県内の各寺院
佐賀県内でも各寺院に被害が見られた。
 唐津市法蓮寺(藤山英周住職)では地震発生時、檀信徒数人が本堂や境内でお彼岸法要の準備にあたっていた。突き上げるような縦揺れの後、横揺れが続いたという。
庫裡の屋根瓦がずれ、車庫と納骨堂の屋根瓦が崩落。自家用車が落ちた瓦で破損した。位牌堂の位牌が散乱し、墓石は20基が倒壊、約60基が向きが変わったりずれたりした。昭和5年建立の本堂に被害はなかった。
多くの檀信徒がお参りに来ていた嘉瀬町妙福寺(渕上靖聰住職)では、揺れがおさまるまで肩を寄せ合ってお題目を唱えた。築70年の本堂の壁が剥がれ落ち、墓石が7基ほど倒れた。
墓地にいた老夫婦は、鯉がいる池の水が上に立ち上がるのを見たという。本堂がメキメキと音を立て壁が崩れて白い煙が出ていた。
◇   ◇
玄界島の北西に位置する長崎県の壱岐では震度5強を観測したが、唯一の日蓮宗寺院、霜田寺(畑良暁住職)に被害はなかった。大分、熊本、宮崎、鹿児島各県の宗務所にも大きな被害報告は入っていない。

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新年のご挨拶。

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