日蓮宗新聞

2009年1月1日号

ことぶき法話

日蓮宗宗務院伝道局長 川名義顕師(静岡県富士宮市法華寺住職)

輝かしき新春を迎へお慶び申し上げます。本年はいよいよ『立正安国論』奏進750年の記念の年です。宗門あげて「立正安国」の旗印をかかげ、「環境・平和・いのち」を損なうすべての思潮、出来事に警鐘をならし、万民が襟をただしていくように働きかける日蓮宗として、私どもは妙法の伝道の活性化と、そのための基本となる僧侶・寺族・檀信徒の人材育成に、より一層力を入れてまいりたいと存じます。
ただいまは「100年に一度」という世界大不況の瀬戸際にあるとさえいわれ、世界各国の首脳は、それぞれ救国のために対策を講じているようです。
米国の大統領選では「変革」をうったえた候補が選ばれました。そんな折、宗務院の金曜講話の講師をおつとめいただいたことのある大西賢一氏の『現代批評』109号、「転換するアメリカ合衆国」を読ませていただく機会を得ました。その中で氏は、
「もともとアメリカ合衆国はワスプがリーダーシップをとり主導権を発揮する国である。ワスプとはWASP、ホワイト(白人)、アングロサクソン(イギリス系)、プロテスタント(キリスト新教派)であるが、メイフラワー号にのってきたワスプを源流とする人々が核となって幾多の困難を乗り越え、フロンティアしアメリカ国家は発展してきた。だからアメリカ社会に存在する人種差別は、それは単なる人権問題ではなく、もっと根元に根ざしたアメリカ国家の本質にかかわる事柄なのである。これを勘案するとき、こんどの黒人大統領の誕生が、まさに驚天動地の事件、230年前の独立宣言に匹敵するほどの大転換といっていいだろう」と、米国は大転換することを選んだと指摘しています。では、なぜ、大転換せざるをえなかったのでしょうか。それは国の根幹に関わるほどの「危機感」からだと思慮いたします。
サブプライム問題に象徴される、どん欲で無責任な時代の金融と経済。世界の趨勢である自己責任をうそぶく自由な市場と競争主義。しかし、破綻したツケを国家の力と国民の税金で尻拭いする羽目になって、最終的に自己で責任をとれないという深刻な現実は、それが不正直かつ不完全であることをはからずも露呈してしまいました。
それでも、自由な市場主義は絶対正しく、競争は仕方がないと主張する人は多いのですが、詐欺まがいのずるかしこさと無責任、功利をむさぼる「どん欲さ」が心の底にあるままでは、失敗はなんどでも繰り返され危機に瀕します。いまこそ多くの人を動かす高度で普遍的な宗教的価値と、それに基づく確固たる道徳律の確立が必要であります。
日蓮聖人はこの宗教的価値及び道徳律を「正法」とよび、「正法」の建立こそ人生にとって不可欠だとしました。そして実践哲学を「立正安国」といたしました。
『立正安国論』奏進750年。世界の「変革」の年です。私たちは仏さまのいのちの遺伝子をもっているはずです。それをみんな忘れてしまっていないだろうか。あらゆる手段をつかってみんな取り戻さずにはおられない。うぬぼれの心、本物を得ようとしない心、自分が正しいと言い張る心を慢心だと戒めた釈尊は、常不軽菩薩に身を変えてあらわれ、「仏さまのいのちをもっていることをみんなに気づかせたい」ただそのことだけを考えて行き交う人すべての人を礼拝しました。
宗祖日蓮聖人は、仏さまのいのちである妙法を伝えていかなければと『立正安国論』を発表したのです。宗祖から引き継いだ正直、罪ほろぼし、恩がえしの心持ちで、日蓮宗はお題目による「変革」を世界にうったえます。
私たち宗徒は、違いをのりこえてお互いがお互いを軽視せず敬い合い、いのちの尊さに気づき、人にも気づいていただく宗門運動「立正安国・お題目結縁運動」をおこしました。お題目のご縁をいただく私どもが自ら人を敬い、いのちの尊さを人々に示し社会を明るくする運動です。そして「いのちに合掌」を日蓮宗の合い言葉にいたしました。何とかして仏さまのいのちに気づかせていただくよう、お題目で縁を結んでいきましょう。
みんなでお題目を唱えましょう。偽善、まやかし、うそ、いつわり、よこしまなものに惑わされずに、正直に、本物を見極めて、安穏な家庭・社会づくりをするために。
みんなでお題目を唱えましょう。慢心し、いのち、こころを傷つけてきた私、生命軽視、環境破壊に荷担した私、み仏の心に反した生活の滅罪のために。
みんなでお題目を唱えましょう。恩を知り恩に報いる私、自分が生きていることによって周囲の人々が少しでも幸福になりますように、自分が生きていることによって周囲の人々の苦悩が少しでものぞかれますように。

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本社社名の文字板 寄附で生まれ変わる

日蓮宗新聞社(東京・池上、垣本孝精社長)の社名の文字板が、僧侶の寄付によって塗り替えられ生まれ変わった。
平成6年の新築後、社員が部分的には修理を行っていたが、本格的に手を入れたのは初めて。錆びて一部はずれた文字板の修理方法を尋ねていたところ、福島県二本松市豊受教会担任の安齋嘉修師から「私がやりましょう」と話があったもの。
安齋師は以前自らが経営していた有限会社よしとき工芸社(千葉県市川市)に依頼、文字を取り外し、漆を一度はがして金箔を二度押しする作業を終え、昨年11月11日に取り付け作業を行った。社員は「毎朝気持ちよく出社できます」と喜んでいる。

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新年のご挨拶。

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    中尾堯著
    日蓮宗新聞社
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  • 日蓮聖人―その生涯と教え―

    日蓮宗新聞社編
    日蓮宗新聞社
    定価 826円+税

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