日蓮宗新聞
2006年11月1日号
いのりんぴっく岡山
「環境・平和・いのち」を総合テーマに行われている宗門行事「いのりんぴっく」。4年目を迎える今年は、10月7日、戦争や紛争のない平和な世界へ祈りを響かせようと岡山市の岡山コンベンションセンターで開かれ、5000人の人出でにぎわった(いのりんぴっく岡山実行委員会主催、日蓮宗・岡山県宗務所後援)。
昨年の愛知県(万博会場と名古屋市法恩寺)に続く地方開催で、岡山駅から徒歩3分の最新鋭の映像・音響機器が備わった施設を利用して行われた。施設一階から3階まの各ホールで、法要や日蓮聖人御遺文朗読、岡山県内寺院の寺宝パネル展示など数々の催しが行われ、ロビーには折り鶴コーナーをはじめ全国社会教化事業協会連合会やBAC仏教救援センターなどの展示・販売ブースが設けられた。
屋外には岡山立正青年会や寺庭婦人会、各寺院の檀信徒による屋台やバザーが並び、終日小さな子どもを連れた家族連れなどでにぎわった。
祭典のスタートをきった「いのりの法要」は、小松浄慎宗務総長を導師、藤田裕正岡山県宗務所長、小埜栄裕宗会議員を副導師に営まれ、約600人が参列した。
ライトで照らし出された幻想的な壇上では、大きなスクリーンにお経文とともに御本尊の映像が映し出され、檀信徒は熱心に手を合わせていた。
法要の後、小松宗務総長が「私たちは祈り願っています、私たちを取り巻く自然環境が永遠であることを。私たちは祈り願っています、私たち一人ひとりがいのちの尊さを知る人であることを。そして私たちは祈り願っています、“平和”という言葉を叫ばなくてもいい世界になることを」と平和への祈りを読み上げ、「国境・民族・思想・宗教・文化の違いで競い、そして争い、己の平和、幸せのみを勝ち取るのであっては決して真の平和は訪れません。私たち一人ひとりが理解し学びあい協調協力し誰もが願い手に入れようとしている“世界平和”のために、共に祈り共に行動しようではありませんか」と、世界の人々と手を携え立正平和の運動を推進していくことを宣言した。法要に続き、屋外の広場では蓮昌寺保育園鼓笛隊によるマーチングバンド、幸福寺万灯講のおはやしが晴れ渡った秋空に響き、祭典は華やかに開幕した。
中四国の檀信徒による16万の折鶴で彩られたイベントホールでは、参加した子供たちの成長を祈る修法や、NHK「おかあさんといっしょ」でおなじみの速水けんたろうおにいさん、林美帆おねえさんの歌のステージが行われた。子どもたちは歌に合わせて元気に踊り、会場は和やかな雰囲気に包まれた。
上原まりさんの筑前琵琶コンサートは、入場できない人もいるほどの大盛況の中で行われた。
上原さんはお釈迦さまの教えを多くの人に聞いてもらいたい、殺伐とした世の中ではなく優しい日本に戻ってほしいと、釈尊の御一代記を披露。観客は琵琶の音色と朗々とした上原さんの語りに引き込まれ、幻想的なひとときを過ごした。
閉会式では実行委員会事務局長の加門圓正師が「昨年の名古屋を視察してから1年間、どのようにしたら多くの人に足を運んでもらえるか、お寺に興味を持ってもらえるかと考えてきました。今日、たくさんの人に来て頂き盛大に開催することができたことを感謝します」と挨拶。大きな拍手が送られ、盛況のうちに幕を閉じた。
藤田宗務所長は「社会教化事業協会、修法師会、声明師会をはじめ各会の協力を頂き、また、県内はじめ中四国の檀信徒の皆さんからはたくさんの折り鶴が寄せられました。僧侶檀信徒が一生懸命に力を合わせた開催です。小松宗務総長にも出席頂き、平和に対する思いが参加した皆さんに伝わったのではないでしょうか」と語っている。
折り鶴は、身延山、広島・平和記念公園、東京・千鳥ヶ淵戦没者墓苑に奉納される。