日蓮宗新聞

2012年8月10日号

戦災や震災の犠牲者に供養を捧げる川施餓鬼

東京隅田川で21回目

東京都墨田区法恩寺(鈴木貫元住職)主催の第21回川施餓鬼精霊供養が8月3日、開業したばかりの東京スカイツリーを望む隅田川の船上で営まれた。同供養は、震災や戦災で亡くなった多くの御霊に供養を捧げるために毎年行われている。
参加者150人を乗せた船は白鬚橋を出航し、両国橋までを約1時間で往復。その間、鈴木住職を導師に法要が営まれ、船いっぱいの参列者たちの読経の声が川面に流れた。隅田川沿岸の遊歩道や川に掛かる橋の上からはこの施餓鬼船を見送る人たちが多数。多くの人たちが読経しながら進む船に手を合わせていた。
会場となった隅田川は関東大震災や太平洋戦争時の東京大空襲の際に、火炎から逃れようとした多くのいのちが失われた場所。この法要は東京の代表的な川施餓鬼として21回を数えるが、昨年からは併せて東日本大震災の犠牲者の慰霊も行っている。
鈴木住職は「年に一度、多くのいのちが失われたこの隅田川に慰霊の法華経とお題目を流したい」と話している。

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2012年8月1日号

飯高檀林の元和版「木活字」の調査進む

「日蓮宗工匠僧」が出版文化史に大きな影響 冠立正大学名誉教授らが調査

千葉県匝瑳市の飯高寺で発見された木製の活字(本紙3月1日号に既報)について、日蓮宗の宗宝霊蹟審議会(大塚泰詮委員長)の手により、新たな調査が進められている。
飯高寺は江戸時代、日蓮宗僧侶らの大学「飯高檀林」として栄え、全盛期には数千人の学僧が学んだ古刹。また、木製の活字は「木活字」と呼ばれ、木の駒に一字一字を逆字に彫りつけたもので、植字台に並べて書籍などを印刷するものを指す。
今年2月、東京都杉並区の本山堀之内妙法寺(嶋田日新貫首)が飯高寺で文化財基礎調査を行った際、中尾堯立正大学名誉教授が木活字を発見、「一切経を刊行しようと事業を起こしたのではないか」と類推していた。
これを受け、宗宝霊蹟審議会では7月2、3日、さらなる調査を実施。同会の中尾名誉教授、オブザーバーとして冠賢一同大学名誉教授らが現地に赴いた。
冠名誉教授によると、日本の印刷技術は平安時代以来、1枚の板木の表裏に彫る「整版」が用いられており、活字印刷術が伝わったのは文禄・慶長の朝鮮出兵の際で、朝鮮からこれをもたらしたのは、京都本国寺(現・大本山本圀寺)の信徒・加藤清正公ではないかと推測。
実際、諸宗に先がけて本国寺の「日蓮宗工匠僧」により、木活字で文禄4年(1595)の『天台四教義』以下、日蓮宗学・天台学書が10点近く刊行されている。遅れて本能寺・要法寺の2ヵ寺からも2、3の木活字版による書籍がみられるという。
その後、本国寺の「日蓮宗工匠僧」は関東に下り、飯高檀林で3点、同じく千葉県にあった中村檀林で1点の木活字版が確認されている。
今回の調査では、太字・細字の2種類の木活字が混在していることが判明。そのうち細字の木活字が飯高檀林の「日蓮宗工匠僧」によるもので、①仁空『新学行要抄』1冊 ②湛然述『法華玄義釈籤』6冊 ③『妙法蓮華経玄義』1冊が檀林学徒のために元和8、9(1622、3)年に刊行されたことが確認された。
本国寺・本能寺・要法寺・中村檀林には、木活字そのものは現存しておらず、元和年間の木活字を所蔵するのは飯高寺のみ。冠名誉教授は「文禄・慶長・元和・寛永初期までの40年間(古活字版時代)のなかで、日蓮宗工匠僧の果たした木活字による刊行は、この時期の出版文化史上、高く評価されてよいもの。飯高寺蔵の木活字は、この時期の出版の実態を伝える貴重な史料として、十分に文化財としての価値があるものです。しかし木活字による出版部数は100部あまりで、現存の刊本は飯高檀林にはなく、全国で1、2部あるのみ」と話している。

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